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その中年。ここに建国せり。  作者: オットー
第一章
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ラナの顔が・・


 洞窟を造って、コア部屋に戻った俺はその日はログアウトした。


「あー、腹減ったなぁ。それに流石に眠い。」


 それもその筈、昨日はバイト帰りでログインしたあと、ラナと出会ってそこで一泊。そのままログアウトしないままで、うたた寝し今日は朝からギルドに行ったり、街の西側に行ったり、洞窟を掘ったりしたのだ。 ほぼ丸一日、リアルでは昨日の4時には起きて仕事し寝ないままでいて、夕方帰宅後に飯を食って、それからは飲まず食わずでログインしっぱなしだったのだ。 離席機能を使えって?

 離席したが最後眠気に襲われ、リアルと同じ時間で進むゲームでは、俺は魂が無い抜け殻の様な状態で居ただろう。 PCには離席とわかるが、NPCから見たらどんな状態なんだろう? 気絶っぽいのか?


 まぁ、余談はこれくらいにしておこう。




 翌朝のため、6時に目覚ましをかけて置いた。 朝目覚ましで起きると、おもむろに洗面所で顔を洗い歯磨きをする。 買い置きの冷凍の弁当をレンチンして食す。トイレで用を足しログイン前の準備は完了した。 新聞は読まない。と言うか購読していない。情報なら携帯やパソコンがあるし必要ない。それに貧乏なのだから、新聞にお金をかけるなんて、とんでもない!  いやぁ、貧乏なんで言い訳したよw



 まぁ、そんなこんなでログインした。


「お、DPも少し貯まってるな。」


 とりあえず今回は使わないでとっておこう。


 ダンジョンマップを確認したが、今日は特に変わったことは無かった様だな。そんなに毎度毎度イベントがあっても困るがな。


 さて、配下による情報収集の成果は?


 この地下への入口より、真っ直ぐに東に向かい森を出ると、少し小高くなっている丘があり、その麓には、件の「泉」がある。


 その泉から、北東へ向かった所に盗賊たちの本拠地である「小屋」があり、そこには数名の見張りが居ると言う事だ。 流石に内部までは調べることは出来なかった。 あとその周辺には、他にアジトらしきものは無かったと言う事だ。


「ありがとう。ご苦労さん。」


 俺は配下たちに労いの言葉をかけ、監視と狩りを交互に行うように指示した。あ、ミノタウロスはそのままダンジョンね。





 それから俺は、「始まりの街」のギルドに来ていた。もちろん人型に擬態してだ。


「タニサ。おはよう、昨日マントを返すのを忘れていたわ、ありがとう。」


「あぁ、俺は同じの持ってるし、ソロで冒険者やってるから要らないんだよ。売却しても二束三文だし、嫌じゃなかったら取っておいてくれ。」


 ラナはちょっと渋ったのだが、俺には不必要なものだと理解し、受け取ってくれた。


 実際、今受け取るとインベントリに入れるか、売るか、捨てるかしかない。持ち帰ればDPに変換できるが、安物だから雀の涙程度なのだ、ただ邪魔でしかない。


「そこまで言うなら受け取るわ。ありがとう。」




「早速だけど場所を変えよう。ここだと話せる内容じゃないしな。」


 ラナに耳打ちする。


「ええ。そうね。 で、どこがいいのかしら?」


「俺は今街へ来てまだ数日なんだ、どこか、いい場所はないか?」


「この時間から空いている、個室のある場所はないわね。」



 俺が悩んでいると、


「あ、あのさ、タニサ。 うっ、家に来る!?」


 顔を真っ赤にしてラナが言う。 と言うか、緊張のあまり叫んで居たちっても過言ではない。


「~~~~!!」


「と、とにかくここを出ましょ!」


 小さい街といっても、朝のこの時間、ギルドには依頼を受けるため冒険者が数人居た。ラナはこの街で2年冒険者をやっている。知り合いも居たのだろう。


 顔を真っ赤にして今にも湯気が出そうな雰囲気をしたラナに腕を引っ張られ、ギルドから出た。


「話す場所が無いから誘ったのよ!勘違いしないでよね!」


「お、おぅ・・。」


 深呼吸し少し落ち着いたであろうラナに、


「でもさ、あれ。ギルドを出るとき、俺の腕を掴んで出ただろう?周りから見たら、どうなんだろうな。」


「と、と、とりあえず、行くわよ! ついて来て!」


 またも真っ赤になっていた。ちょっと意地悪し過ぎたかなぁ。


 なんだかんだ言っても、ラナはきちんと俺を自宅まで案内してくれた。


「散らかってるけど、どうぞ。」


 まだ、ラナの顔は少し赤いが、平静を装っている様なので、これ以上弄るのはやめておこう。


「ありがとう。お邪魔します。」




 ラナの家は、この世界は一般的な住宅で、金持ちでも貧乏でも無さそうだ。

 リアルの俺の部屋より広い。 しかも生活感はあるものの、綺麗にしていると言っても問題ない。


「へぇ、流石女の子、綺麗にしているんだな、」


 と、本心から声が出た。


「ま、まぁね。」「でもありがと。」


 なんで、礼を言われたか分からないが受け取っておく。


 居間に案内され、木製のテーブルの前にある椅子に案内されたので、座る。 ラナは少しして戻ってくる。飲み物を用意してくれていたのだ。


「ほう。ハーブティーか。」


「あ、わかるの? お母さんが毎日世話をして育ててるんだ!」


 まるで天使のような微笑みだった。


「うん。詳しくはないけど、何度か飲んだことがあるんだ。たまにしか飲めないんだけどな。」


「そうなんだ、あ、お母さんは今いつものお店にハーブを卸に行ってて、今は家にはいないのよ。私たち2人っきりね。」


 ラナは、自分で口にした言葉で、また顔を赤くした。



「と、とにかく、そういう事で、誰にも聞かれる心配はないから、安心してね!」


「なるほど、それはありがたいな。じゃあ、これからの事を話そうか。」


「ええ。」


 まだ少し赤みは残っているが、真剣に話そうという顔になった。


「まず、昨日ギルドで話したとおり、俺はテイマーでモンスターを従えている。そこはいいか?」


「うん。」


「次に、俺はここに来て数日で面が割れていないが、ラナはここを拠点にして冒険者をしていて面が割れている可能性がある。」


「うん。」


「でだ。 俺は、既に盗賊のアジトを探し出している。」


「え!?もう!?」


「ああ。俺はテイマーだからモンスターを使役して探しだしたんだ。」


「テイマーってそんな事もできるのね・・・。」


「テイマー全員がそうかどうかは分からないが、俺は、と言うか、俺のモンスター達はできるんだ。」


 俺の能力ではなく、モンスターの力だと言っておく。


「なるほど。うん。」


「で、ここからが作戦になるんだが、・・」


「うんうん。」


 ってか、顔が近い! 2人っきりなんだから、そこまで近づかなくても・・。

 まぁ、可愛いから嬉しいんだけど・・。  ってNPC相手に何を考えてるんだ!俺!

 現実は、甘くないんだぞ・・・。嬉しかったはずが、寂しくなってきた・・。


「囮作戦で行こうと思っている。」


 と、考えている作戦を説明し、意見を聞きながら相談した。


「じゃあ、そういう事で、明日の昼には街を出られるようにしておいてくれ。あ、出来るだけ寝だめしておいてくれよ」


「うん。わかったわ。 じゃあ、明日の昼ね。」


 おじゃましましたと言って俺はラナの自宅を出た。


 ちょっとだけ、ラナをヒロインチックに書いてみました

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