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その中年。ここに建国せり。  作者: オットー
第一章
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お仕事前には安全対策。そして帰宅後


 「テイマー心得」出版 冒険者ギルド


 ギルドの受付で渡された小冊子を読んでいた。


 義務

・ギルド発行のIDカードに、テイマーであることを表示する。


・各市街地や王都に入る際には、テイムモンスターは入ることはできない。但し、ギルドで販売しているモンスターブック(インベントリのモンスター版)に保管することで、持ち運びは可能。


・テイムモンスターの行動は、そのテイマーが全ての責任を取る。


・違反した場合は、罰金及び実刑が課せられる。



 こんな感じか。表示はギルド内でできるな。問題ない。


 モンスターブック?これはそのものを見てみないとわからないな。だけど門の外に待機させてて、冒険者に狩られる事を考えると必要だな。


 責任に関してはわかる。 ただ罰金や実刑に関しては、詳細が書かれていない、どんな罰なのかな。こわいな。



「すいません、モンスターブックを買いたいんですが。」


「あちらがギルドの公式ショップなので、そちらでお買い求めください。」

 

「ありがとうございます。」



 なるほど、商品を置いてるのではなく、この商品札をカウンターに持って行ってからの購入か。


 モンスターブックと一言で言っても、数種類あるんだな。

 一体用から四体用まであり、かつデザインが違う。


 一体用で1金貨、二体で5金貨、三体で10金貨、四体で20金貨。

 ぼったくりだよなぁ・・。一体用を4つ持ち歩くことを考えたが、説明書きを読むと、モンスターブックはインベントリ等に収納不可であり、モンスターが中に居ると、それなりに重量があり、専用の収納ケースは腰から下げるタイプだが、1人では一冊下げておくのがやっとの大きさだ。

 それに加え、一冊では問題ないが、二冊以上持ち歩こうとすれば、徐々にMPを吸われるらしい。


 店員に話を聞くと、過去には屈強な魔術師が持ち歩くことに成功したという話だが、一日で根を上げたとの事だ。

 魔術師ほどの魔力を持って、尚且つ、屈強な肉体を持ってしてもそうならば、誰も無理はしないだろう。 ヘタを打つと、MP枯渇で野垂れ死にだ。



 専用ケースは安いといっても2銀貨もする。

 いい商売してるね。


 今の俺の所持金では買えないな。いずれ買う事にしよう。


 とりあえず、テイマー表示を受付嬢に頼み、手数料を払った。 ギルド内で今日やる事はこれくらいだな。 俺は、拠点であるダンジョンに向かった。


 地上ではあるが、ダンジョンの範囲にまで戻った俺は、落とし穴部屋に転送した。


 留守の間の状況を確認した俺は、全員を集め、LVが平均になるようにレベリングするように指示を出した。


「狼が一番LV高いな、16だもんな。最弱は一度も戦闘経験がないゴブリンだな。 中ボス部屋に狼を配置する。 他の皆はLV16になるように協力してレベリングしてきてくれ。 あ、死体は持ち帰ってくれよ。」


 死体でも、多少のDPになるのだから、そのまま捨て置くなんてとんでもない! DP貧乏なのだから。 あー、リアルでも独身中年で貧乏なんだよなぁ・・。ひとりでしょげていた。



 皆がそれぞれ動き出してから、俺は落とし穴べやで這い出てくるものを蹴落としながら飛び出るコウモリにトドメを刺していく。

  数時間後、兎がLV16になったことで死体を持ち帰ってきた、狼も呼び戻し、二体に新たな指示を出す。レベリング班が倒したモンスターをダンジョンの領域までもってくることだ。


 基本は領域から出ずに狩りをしていたレベリング班だが、戦闘中にそこから出てしまうこともあるのだ。


 そろそろこの辺に、野良モンスターの姿が見えなくなって来ていた。


「狩りすぎたかなぁ・・。 まぁ、餌となる野生動物がいるから、野良モンスターもそのうち増えてくるだろうよ。」


 自分に言い訳し、納得しておく。


「仕方ないな。収入をこれ以上減らすのは良くないな。 死体のピストン輸送を終えた狼と兎に、牢獄にいるモンスターに与える餌となる動物を準備させるか。」


 野生動物の鹿を2匹狩らせ、それぞれの牢獄に1匹ずつ放り込む。危ないから落とし穴からだよ。




 じゃあ、レベリングとダンジョン防衛を配下に任せて、今日はこの辺にしておこう。


 ログアウトして、リアルの世界に戻る。 まだ夕方だが、明日は日曜日。一般的には休みのイメージだろうが、非正規雇用のバイトのおっさんは、明日は出勤なのである。


 普段より早めに就寝。 朝の4時に目覚ましを設定。



 翌朝、目覚ましで起床した俺は、ログインして、状況を確認した。配下が全員同レベルになっていたのを確認した。 配下たちは全員が完全回復している状態だったので、蠱毒状態で生き残ったモンスターと戦わせることにした。 流石に、蠱毒を生き残っただけあって強敵だったが、数でも勝る俺の配下たちの敵ではなかった。 二つの牢獄の蠱毒の生き残りは、二体とも、経験値とDPに変わったのだ。


 現在、牢獄には一体もモンスターはいない。


 溜まったDPでミノタウロスを召喚した。これで、また貧乏に戻ったが、今日はこれから仕事があるので、ログイン出来ない間の安全対策は必要だ。ミノタウロスには牢獄部屋で待機させ、迷い込んできた全ての敵を殲滅しておくように指示しておく。


 死亡キャラは地上部分を除き、全て即DP変換になるように設定。修復装置ももちろん稼働する。


 そして、ミノタウロス以外の配下たちには、夕方まで休日とし、自由にさせる事にした。



 ログアウトし、通勤準備。


 仕事は今までと変わることもなく、無難に今日も働き終える。


 帰りに弁当やらを買って、帰宅の途につく。



「さて、と、ちゃっちゃとやることやって、始めますかねぇ。」


 いつの間にか、また独り言だ。今に始まったことではないので気にしない。




 ログイン・・・・コア部屋に居る。


 さて、状況確認だ。


 DPは僅かに増えているな。迷い込んだ奴がいたか、地上で戦闘でもあったのかな。



 落とし穴部屋に行くと、入口付近に人影が見えた、即座に物陰に隠れる。


 マップ表示

 検索

 配下や自分は青く表示されている。だが入口付近には灰色の表示がひとつだけある。


 やっぱり誰かいるな。


 俺は一度隣のフロアに行き、人型になってから、入口の方へと向かった。


 やばいな、とりあえず、皆を近くに待機させておこう。



 灰色の表示ののあった人物の近くまで来る。だがその者は、意識を失っている状態だった。


 さて、どうするべきか・・・。この侵入者の意識が戻る前に何とかしないとな。


読んでくれてありがとうございます。

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