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その中年。ここに建国せり。  作者: オットー
第四章
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サプライズの予定


 さて、ようやく落ち着いた様子の4人。


「結婚式の衣装は準備できたのだけど、実際の結婚式を執り行うまでの貯蓄は実はもうなくなってしまってね。そこは悪いんだけど、タニサ君。頼めるかな?」


 イファの俺の呼び方がさんから君に変わっていた。


「もちろんです。ここまでお膳立てしていただいて、式までお願いすることは出来ません。」


「ところで、最近ギルドでの仕事をあまりしていないって話をしていたけれど、結婚式もそうだけど、しばらくラナを養って生活出来るだけの貯蓄はあるのかかしら?ラナもマント以外、ほぼお金はないわよ?」


「ええ。大丈夫です。」


「タニサ。仕事してないのにまだ大丈夫なの? 無理しなくてもいいわよ? 私だったら狩りや採取で、適当に集めたものでも食べれるわ。 少しずつ二人で頑張って結婚式の資金、貯めましょ?」


「いや、本当に大丈夫なんだ。心配はいらない。さっき言った秘密にも関係している事なんだ。」


「それならいいんだけど・・・。 タニサの事は信用しているから。」



「秘密? そんなものがあるの?夫婦の間に秘密は禁物よ?」


「ええ。ですが、これらの秘密は聞いたものの命すら危うくなるほどの事なので、おいそれとは言えないんですよ。」


「何?そんな危険な秘密を持っているのか! 俺の娘を!ラナを危険な目には合わせるなんてことはないだろうな!!」


 俺の返答次第では、殴りかかって来てもおかしくはない勢いのイファさん。


「ええ。大丈夫です。 ただ、超箱入り娘のようにさせてしまう恐れはありますが・・・。」


「安全ならいいのよ。娘の事頼むわね? でも、私たちより先に死ぬようなことがあっては許さないわよ。ラナだけじゃなく、あなたもよ、タニサ君。」


 ああ、二人とも君呼びだ。


「ええ、大丈夫です。 魔王が襲って来ても必ず守り切ります!!」


「タニサ・・・・・ ステキ・・・」 


 ラナは、赤くなった頬を隠すように両手で挟んで首を横に振っている。


 あ、魔王が来ても、とか物凄く臭いセリフを吐いてしまった・・・。恥ずかしすぎる・・・・!



「ところで・・・。」


 とイファさんが聞いてきた


「その秘密のうち、いくつかは俺たちにも言えることがあるのかな? 」


「ええ。はい。 それは、そうですね。 来月の最初の日、1日に伝えられると思います。ああ、決して危ないとかではなく、お二人にサプライズをしたいからなんです。 なので、来月の頭は数日間、自宅に帰らなくても大丈夫なように、準備を万全にしておいてください。」


「ラナ。君もその日まで、水入らずで暮らすんだ。いいね? それからはさっきも言ったとおりに箱入り状態で、自由に出歩くことは出来なくなる可能性が高いんだ。 理由は、そのサプライズの日にわかるよ。」


「え?これから毎日、ここでみんなと一緒に暮らせるんじゃないの?」


「ああ。 残念ながら、それは難しいんだ。 その理由もサプライズの日にわかるよ。」


 それから、4人で夕食を摂り、俺の土産として持ってきたお菓子をデザート代わりにして、ライラさんのハーブティーを飲みながら、夜遅くまで話をした。



 さてそろそろ行くかな。


「でも、あれよね。 お母さんもお父さんもおかしいわよね?自分たちはタニサの事を君付けで呼んだのに、自分たちはこんな中年の息子が居たら一気に老けるとか言って、今まで通りの呼び方にしてくれだなんて、ね!あははっ」


 こういった会話をしながら、話も弾んでいた。 ここに来た時は、まさかこんな結果になるだなんて、思っても居なかったが、これできっと良かったんだと思う。 なぜなら、みんな幸せそうだからだ。


「ところでイファさん。 今までの商売道具は売ってしまったと聞いたんですけど、従業員の方はいないんですか?」



「ん?ああ。ほとんどの者には暇を出したんだ。 稼ぎが少なくなるから、給料は当然出せなくなってしまうからね。 一人だけだよ。今残ってるのは。 喫茶店を売ったお金で小さなお店を細々とやっているんだ。 彼だけは、どうしても辞めないと言い張ってくれてね・・・。喫茶店では調理場を仕切ってくれていたんだけどね。  昔、あることがあって、それを今でも恩返しし足りないとか言っちゃうんだよ。 ホント。俺こそ感謝してるよ・・。」


「へぇ・・。 もし良かったら、その彼も、サプライズがある日に来て貰えるように頼んでみてくれませんか? イファさんの大事な従業員さんなら、俺にとっても大事にしたい方です。 それに縁を大事にする方に会ってみたいんです。 お願いできますか?」


「呼んだら来てくれるかもしれないが・・手紙を出すにも金もかかるし、ここまで来るのだって、きっと危険だろう。 大丈夫だろうか・・。」


「あ、そういえば言っていませんでしたね、実はサプライズをする予定の場所は、王都の少し西側の「ある場所」でやる予定なんです。なので、3人がその彼を迎えに行ってあげて欲しいんです。 前もって手紙を書いてもらえれば、俺が王都のギルドに依頼して、手紙を届けてくれるようにしておきます。 王都内からなら手紙は確実に届きますし、当日まで、その彼と会うことを楽しみにもしたいのでそうします。

 みんなの移動中の安全は確保しますよ。ラナも冒険者だし、ちょっとした装備があれば戦えます。 だけど戦わなくてもいいように、ここに護衛用のモンスターブックを置いていきます。もちろん絶対言う事を聞いて安全なので、心配はいりませんよ。」


 そこまで言うと、それならば、という事でイファは手紙を準備してくれている。


「ラナ。これで最低限度の装備を整えてくれ。念のためだから、本当に最低限度でいい。余ったら食費に使ってくれ。」


 そう言って、2金貨を渡した。


「あら!すごい大金! 本当にお金は大丈夫なようね!?」


「ああ、俺がラナにウソをついたことがあったか?」


「ないわね。」


 即答だ。


「はいはい。早速見せつけないでくれないかしら?」


 と、微笑んだライラさんがいた。


「あはは」


 と苦笑いをするしかなかった。そんなつもりはなかったのだ。


「タニサ君、出来たよ。」


 その手紙を受け取ると、俺はそろそろ帰ると伝えた。


 泊まらないのか?と聞かれたが、サプライズの日までに今残っている事をやってしまわないといけないから。と断っておいた。


 最後に、来月の1日の朝10時には王都の入口で待っていて欲しいと伝えておいた。その時間に迎えに行くと。全員、当日は好きな格好で良い。とも伝えた。


 そして俺は、手紙とタキシードとウエディングドレスをインベントリにしまい、彼らの家を出たのであった。


もう少しで結婚の話を書き終える予定です。

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