テスター2日目
帰宅し、買ったものを片付ける。
ゲームの離席状態を解除し、配下たちに監視させていたモンスターの内、離席中に死亡したモンスターを吸収した。動物たちのなかで、死亡したものが居た場合は、食っていいと配下に言ってあった、数匹減っていたので、きっとそういう事だろう。
今度はログアウトする。
「よし、テスターとして十分な時間プレイしたな。」
テスター初日としては、まずまずだと思い。今日はもう休むことにした。
翌朝、歯磨き・朝食・トイレを済ませた俺は、ネットでゲームの新情報が出ていないか確認することにした。
「テスト期間中の情報漏えいは、罰金発生の契約書で制限されてるから、新しい情報は出てないな。」
俺はログインする。
ログインした俺は、まずダンジョン内の状況を確認する。
昨日の夜のログアウト後に、たまたまダンジョンに迷い込んだモンスターや動物が何匹か居て、死んだのも何匹かいるようだ。 落とし穴に落ちたやつを引きずり出し捕食する。スライムって便利だ。
配下たちに、警戒態勢を解かせ、自由に食事してこい。と命令を出す。昼までに帰ってくるように言っておく。
僅かに溜まったDPを使い入口周辺の地上部分を半径50メートルほどを、ダンジョンの指揮下にいれた。これで、周辺で配下が食事をしてもDPも入るし、深夜0時に何者かがいた場合にもDPが入る。それに何より、ダンジョンなのだから何かあったら把握することもできるし、念話もできる。メリットが多い。 ただ、おかげでDPは底をついた。
地上部のダンジョン化を設定したあと、ダンジョンの瀕死体をすべて取り込んだ。歯向かう元気のあるやつは居なかった。というか、全員意識が無かったので、楽に吸収できた。
<レベルアップに伴い、分裂スキルを入手しました>
そういえば、昨日から瀕死体とは言え、結構な数のトドメを刺してたな。
「とりあえず、スキルは少しずつ増えてきているな。うん。レベルアップでもスキルが入手できるのも嬉しいな。 スキルの確認もしたいが、その前に地下にもう一つ部屋が欲しいな。」
独りが長かったせいで、相手がいなくても声を出していることが多い。所謂「独り言」だ。
「さっき、地上をダンジョン化したせいで、DPが足りないか・・・。 まぁ、必要なことだし仕方がないな。後回しにしよう。」
先ほど入手したスキル、分裂を試してみることにした。
「このゲーム、色々説明がたりないよなぁ。そうだテスターなんだし、運営に要望メール出しておこう。」 メールを出した。
<運営からのメール着信アリ>
「はやっ!」
なになに? 読んでみると
「スキル入手の際は、システムメッセージを流すことにしていますが、スキルの能力等の説明は、プレイヤーの皆様に実際に体感して楽しんでいただくために、詳細の説明をあえてしておりません。 メールありがとうございます。今後もお楽しみください。運営」
要は、実体験でしかスキルの能力を知ることができないってわけか。現状、リアルでも情報制限されてるし、仕方ないか。 とりあえずやってみるか。
分裂してみた。 8あった俺のLVが4になっている。分裂て生まれたスライムはLV2。
「なるほど、俺のLVが4つ下がるか、半分になるって感じか。 生まれたのはLV2だから四分の一で生まれる可能性が高いから、分裂によるLV減少は現在LVの半分、ってのが有力な可能性だな。」
スライムのステータスをチェックする。スキルは何も持っていないらしい。
「ん? 下の方に青文字でなんか書いてるな。」
スキル譲渡?
分裂したスライムにスキルの譲渡が可能なのか。早速試してみよう。
体当たりを譲渡した。 俺の体当たりスキルはLV2だったが、俺もこいつもLV1になってるな。
譲渡は、半分のレベルを譲渡するか、もしくは譲渡後はどのLVであっても1に下がってしまうか。ってところか。
他のスキルでも試してみようと思ったが、元々LV1のスキルは譲渡不可。
いろいろ悩んでいるうちに、スキル譲渡と書いてあった青文字が消えていた。なるほど10分で、譲渡コマンドは使用不可になるのか。
「これだけ分かればとりあえずいいか。スキルがLV1の体当たり1つでも、無いよりましだもんな。」
「よし、お前はダンジョン内の掃除を頼む。地上部分はしなくていい。」
プルッ、っと震えると動き出した。どこかで聞いたことがあるけど、スライムはダンジョンの掃除屋さんと言われるらしいが、こいつを見てよくわかった。肉片やら皮やらを吸収している。なるほどー。俺は同じスライムと言ってもそんなことはやりたくない。分裂して良かったぁ。
分裂以外ののスキルは名前からしてそのままな感じだから、次には擬態を試してみよう。
結果、見た目の変化と種族特性だけを真似ることができるらしい。例えばモグラなら土を掘るとか、蝙蝠なら飛んだり天井にとまったりだな。意識するだけで擬態が可能だから、超便利だ。
そういえば、元々の俺のキャラにもなれることが分かった。
元の姿になれるのならば、慌ててお金を使うこともなかったのに。と少しの後悔があった。それに最初のチュートリアルスキップ特典、意味なくないか?などなど、いろいろ思うところはあったが、この年になると、後悔や反省を長々としているよりも、今後のことを考えるようになってくるのだ。 残りの人生は若者より時間が少ない分、昔のことに拘ってはいられないのだ。
昔と言っても昨日のことだけどな。それにゲームだし・・。これを言ったら面白くない。撤回します。
昼に配下たちが帰ってくる前に、出来るだけ細かいところまでヘルプを読んでいた。今更だが知った事実がある。配下モンスターになっていると、何かを捕食しなくても、生きていられるらしい・・。ダンジョン内では特別な魔力である「魔素」があり、それさえあれば問題ないということだ。
魔素とは、そのダンジョンが深ければ深いほど、大きければ大きいほど、保有可能な最大魔素量も増えていくと言う事だ。 各モンスター毎に必要な量があり、所属モンスターの必要魔素量の合計は、そのダンジョンの最大保有量を超えてはいけないのだ。
つまり、小さなダンジョンでは、いくらDPが大量にあっても最大魔素量を超えるようなモンスターは所属できないらしい。
自然発生型のモンスターならば、どんなに強いモンスターでもダンジョンに住み着くことは可能だが、コア破壊の可能性はすこぶる高い。 そんな危険を犯すくらいなら、野良の強いモンスターをダンジョンに住まわせる事はしないほうがいい。よっぽど自信があるなら、好きにして構わない。という程度だ。
まぁ、そういうことで。余談もあったが、もう、必要以上に動物たちを狩る必要はないのだ。
とりあえず今日はモンスターのみの瀕死状態の捕縛を配下たちに命じ、俺は飯と風呂を終えて、コア部屋で日付が変わるまで、いろいろ考えることにした。
投稿は不定期ですが、良ければ読み続けてください。




