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その中年。ここに建国せり。  作者: オットー
第三章
22/41

行くぞ!!

早くも新章追加となりました


 大陸の西側、小国が無数に興ては消えていく地域。


 そう。 ここでは力のある者が王となり、民心を導いていくのだ。


 その中で、強者は他国を喰らい。 弱者は消えて往く。



「今のところ、急に動きを見せている人間はいなさそうだな。」


「はい。現状では、そういった怪しい動きをしている者は見当たりません。」



「マスター。 わたしの目にはこの一番最西のこの国に、数名ですが、深夜の人間の動きはとは思いにくい行動をしているように見えます。」


 狼が言う。 久しぶりの発言だ。


「そっか、ちょっと見てみるか。」



 大画面にその指摘があった辺りを映し出す。


「この辺だな。」


「見る限りだと、わずかにこの場所が慌ただしく感じられます。」


 だけど分かりにくい、音声は聞こえず慌ただしく動いている人間の映像だけが見ているのだ。


 こうなったら、気になるなぁ。


「概念操作で、この映像から音声を出せる様にしよう。」


 俺は一瞬画面を消し、音声入りリアルタイム動画を映しだす。


 解像度は多少落ちたが、まるで安物のデジカメでセミプロが映したような映像が流れる。


「微妙・・。」


 音声を拾えるようにしたおかげで、画質は多少落ちちゃった様だ。


 自動録画機能も、ついでとばかりに追加したのも原因かな?


「拾った声によると、どうやらこの国はクーデターが起きる様です。 この国も含め、連合国で領域化が露見されることは無かった模様です。」


「なら、いいな。 わかった。 各自、各々のダンジョンに戻れ。

 これから、俺はこの国に乗り込み、今居るこのクーデターに乗じて、ここを乗っ取る。 何かあれば呼ぶ。 以上。解散!」





 俺は人型に変わり、目の部分以外を、布を巻き付け覆い隠す。


 そうだ、この間ランダム召喚で出てきた「ペガサス」を連れて行こう。


 有名だと思うが、馬型で羽があり、飛べる。 カッコいいのだ。 中年でも憧れるのだ!



 あと、他にもランダム召喚で出現したモンスターをもう一体連れていくか。



 決して強いという訳ではないが、レア度としては高めの「ブラウニー」だ。


 こいつは戦闘は、棍棒とか木槌や金槌・ハンマーなどの鈍器系の打撃武器が主で、そんなに技は多くないが使ってみたい。 最近までデビットに預けて、内政関係を学習させておいた。


 レベルさえ上がっていけば、人間の街を管理させる事も、いずれ可能になるだろう。


 このブラウニーは特殊だ。


 鈍器で建造物を壊すだけでなく、土や石を用いて砦や家などを造り出すスキルを持っているのだ。


 防衛力のあるスキルがあって、内政特化型に育成。 もちろん言葉も話せるようにも成っている。


 戦闘に不安があるから、ペガサスとバディにさせて行動させるつもりだ。 護衛や移動手段にな。





 と、言う訳で、覆面を被り体が隠れる大きなマントを覆った俺は、最高級装備品をさせたペガサスと同じく最高級の古プレートを装備したブラウニーと3体で、大陸最西端の国に転移した。



 俺はこの国に、間もなくクーデターが起こると知っている。


「なぁ。 またクーデターが起こるってよ。 知ってるか?」


 酒場に来ている俺たちは、カウンターに座り、客の一人に話しかけた。


「それはいつものことだが、今回は俺は雇われてねぇよ! じゃなきゃこんな所にゃいねーよ!」


「こんな所で悪かったな! おい、お前も話すだけじゃなく注文でもしろや!」


「ああ、そうだな。 悪かったな。 じゃあオヤジ。この場の全員にここで一番高い酒をやってくれ!」


 俺は懐から金貨数枚と銀貨が大量に入った袋を、少し口を緩めておき、他の客に中身が見えるようにしてカウンターに投げ捨てた。


「おい! 野郎ども! この人が全員にうちで一番の酒を振舞ってくれるとよ!!」


 盛大に客達は叫び、盛り上がった。


「さっき言っていたクーデターだがな。 実は俺が王になろうって訳だ! 付いてくる奴はいるか!?」


 マントを翻し、敢えて装備を見せびらかす。 皆がわからない内に、俺の隣にはブラウニーが居る。


「俺たちの仲間で、外で待機してるヤツがまだ居るんだが。 外が静かになったから、落ち着いたんだろう。 顔を拝みたい奴は見てきていいぞ。」


 拠点で2体には高級な装備品を装備させておいた。 なので俺もブラウニーも高級な装備を身に着けていることは、酒場に居た連中はすぐに分かっただろう。


 それに、今、酒場の外には、最高級の装備を纏っているペガサスが、襲ってきたであろう不逞の輩をひとなでし山にしておいた状態がある。


 酒場に数人が戻ってくる。


「おい! 仲間って、外にいるペガサスの事か!?」


「ああ、そうだ。 他のやつらは返り討ちに遭っただけのやつだろうよ。」




 やいのやいの騒いでいた奴等は、今回のもともとのクーデターには不参加だった傭兵連中だったので、俺は最後に一言付け加える。


「おい! お前ら! 俺の国は実力が全てだ! 俺についてきた奴らは全員騎士にしてやる! 騎士は御免だっていうやつには、金貨5枚代わりとして追加報酬出してやる!  もちろん今から雇う分は前金で全員金貨を3枚やる! 雇われる奴はこっちへ来い。 出発は15分後だ!」



 ならず者の傭兵だけあって、人間としては強そうなやつもいるし、駆け出しっぽいのもいる。


 だが俺が一番欲しかったのは、そういう奴らではない。


「ボキッ!!」


「ぎゃー!!」 酒場に今までとは異なる叫び声が響いた。 テーブルの下敷きになった傭兵がいる。


 そいつは俺から金を貰って、そのまま逃げだそうとしていた奴だ。 そういうのを待ってたんだよー!


「おい、王様よ! 何やってくれてんだよ!!」


 酒場のオヤジが叫んだ。


「いや。 持ち逃げしようとしたヤツに、俺に逆らえばどうなるか教えてやろうと思ってな?」


「丁度よく目の前にあったテーブルで、身をもって知ってもらったんだよ。」


「悪いな。オヤジ。 テーブルダメにしちまった。弁償する。」  と金貨を10枚渡す。



 この場の全員は、この状況を目の当たりにして驚愕の表情だ。


 よしよし。 狙い通りだ。


 強い!金持ち!容赦ない!  これを見せつければ傭兵という職業に身をやつしている輩は、心酔するか怯えるか、大体2択を迫られる。


「さぁ! もう俺の作る国を一緒に見たい奴はいないか!? 希望者がいなくなったら直ぐに城に行くぞ!」




 さっきの茶番のおかげで、ここにいる傭兵がほぼ軍門に下った。 なぜか酒場のオヤジ以下店員全員も居るのは気のせいだろうか?


「下ラン小細工はしない。まっすぐ城を目指す。 行くぞ!!」


 ぞろぞろと酒場に居た奴等を引き連れ、酒場を出る。


 酒場に残ったのは、呑みかけの酒と、食い残しのツマミ。 そしてテーブルの下で寝ているバカな傭兵だ。 いや、助かった。ありがとよ。 褒美に命は取らないでやるさ。



 こうして夜の闇の中を、王城を目指して練り歩いて行った。


ちょっと展開が早すぎたかな? とも思いましたが。

 書いちゃったので仕方ないですw

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