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その中年。ここに建国せり。  作者: オットー
第一章
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スライム型ダンジョンマスター 


システムメッセージ

<タニサがダンジョンマスターになりました。ここに居るモンスターを配下にしますか?>


 (yes)


 ふぅ・・。これで、ここに居るモンスターに襲われない・・。内心めちゃビビってた。

 

 ゲームオーバーになるとかならないとかじゃなく、普通に襲われるのが怖かったのだ。



<オオカミ・ウサギ・モグラ型モンスターをは以下にしました。記憶の処理を実行。完了しました。>


「マスター。まずは、ダンジョン作成おめでとうございます。」


 狼が恭しくこうべを垂れる。兎、土竜もそれに続く。


 狼の声は結構渋い声だ。


「命令してください。」 兎だ。少女のような声だ。


「・・・」 土竜は・・黙ってこうべを垂れたままだ。




「とりあえず、三体で協力してダンジョンの入口を隠してきて。まだ、誰にも見つけられたくないから。」


 了解の意を示し、三体が動き出した。


 部屋の奥の方にある光の珠に俺は近付き、様子を伺う。特に何も変化がない。


 その光の珠に触れてみた。


 一気にダンジョンに関する知識がヘルプシステムに登録された。


 内容を確認しようと、手を伸ばそうとする・・・。


「あ、俺、もうスライムだ・・手がねぇ。」


 いきなり詰んだ。


「マスター。どうされました?」


 折れた木の枝や草、蔦などで入口の隠蔽が終わったと報告を受けると同時に助け舟だ。


「あ、いや、ヘルプシステムを見ようとして、手がない事を思い出したんだよ・・・。」


「タニサ様。別に直接触れなくても、ウチらモンスターは、意識しただけで操作できますよ?忘れちゃったんですか?」


と、兎。



「いやぁ、俺はスライムに成り立てで、色々わからないことだらけなんだよ。教えてくれてありがとう。」


 スライムに成り立てというか、実際には、ゲームを始めてまだ一時間も経ってないのだ。 チュートリアルすらやってないので、すべてがわからないのだ。


「なるほど、ではウチがわかる範囲で、メイン画面の操作から教えますね。」


 兎から操作法を聞きながら実践。意外と簡単。意識するだけでメニュー操作を教えて貰った。



 ヘルプを軽く流し読みして、少しダンジョンについて調べると、いくつかの事がわかった。


・ダンジョンは、DPを使用し、様々な恩恵を得ることが出来る。


・ダンジョンに籍のあるモンスターは、DP回収の対象にならない。(ダンジョン内で自然繁殖したモンスターは回収対象になる)


・DPは、そのダンジョンに籍を置いていないモンスター、及びその他の生き物の、生命力をDPとして入手することができる。

 命を落とすか日付変更の0時の段階で、入手可能。 それぞれ対象によって入手DPは異なる。


・ダンジョン内では、放置状態にあるアイテム(死体含む)等は、約6時間程度でダンジョンマスターの宝物庫に回収される。回収されたアイテム等をDPに変換することが出来る。


・ダンジョンマスターと配下のモンスターは、ダンジョン内であれば念話で通じ、指示を出すことができる。また、マスターは配下のステータスを無制限で確認することができる。


・各ダンジョンでは、それぞれのマスターが独自のシステムを構築することも可能。


・ダンジョンコアが破壊されない限り、ダンジョンマスターは24時間後、ネームドモンスターは、48時間後に復活が可能。


・ダンジョンコアが破壊されると、ダンジョンとしての恩恵がなくなる。




 これだけわかれば、まず、動くべきかな。

「よし、みんな。これからの方針だけど。まずはダンジョン成長のためにDPを貯めなきゃいけない。そのためには、安全確保が一番大事なんだ。 それで、みんなにはやってもらいたい事がある。」


「兎は俺に、色々知ってることを教えて欲しい。 狼と土竜は、絶対に勝てるモンスターや動物たちを、瀕死状態でダンジョンに連れてきてくれ。」



 情報とDPは、今後のために絶対必要なものだ。


 兎からの教育を受け、数体の瀕死モンスターを俺がトドメを刺す。瀕死の動物は三体の配下の餌にする。


「動物たちは、みんなのご飯だ。仲良く分け合って食べてね。」


 俺はトドメを刺したモンスターを、スライムの特性で吸収して行く。


<吸収したモンスターへの擬態が可能になりました>

<一定数吸収したモンスターのスキルを学習しました>


「よし!予想以上の結果だ!」


 兎・土竜・鼠・蝙蝠・犬・ゴブリン、これだけ擬態が出来るようになれば、何かと便利だ。狼はまだ格下ではないので、狩りは出来なかったようだ。


 スキルは、(体当たり・頭突き・槍術・噛み付き・引っ掻き・ソナー・短剣術)をそれぞれ入手。全部LV1ってことは、今後も成長の可能性があるってことだな。今後に期待しよう。うん。




 少なくはあるが、DPを入手したので、いくつか考えていた事を実行に移すことにした。


 配下たちには、小休憩させてから、今度は三体で再度仮に行かせた。


「さて今のうちにやっちゃうか。」


 初めに、入口から入ってすぐの場所に落とし穴をいくつも構築。配下には作動しない条件を追加する。落とし穴は最下級のものなので、ただの落とし穴だ。

 落ちた先に、何かあるわけではないが、ダンジョンの中に防衛機構がないのは、心配だから、ちょっと多めに作ってしまった。ヘタレって言うのかな?いや!ヘタレではないはずだ。俺はここを守りたいんだ! ちょっとだけ、自分に言い訳した・・。いや、でも安全対策はあったほうがいいでしょ!


 それから、コア部屋と同じ条件の部屋をひとつ構築。すぐ奥に配置する。コアは奥の方の部屋に移動しておいた。


「ん~、今日はこれ以上無理だな。ダンジョンポイントが足りない。」


「あと、ダンジョンの自動修復機能を一旦停止させよう。」


 自動修復が機能中は、その修復度合いによってDPを自動で消費してしまうのだ。



 配下たちが帰ってきた。


「ただ今戻りました。」


「あ、おかえり~。一つ目の部屋はみんなで使ってね。俺はコア部屋を使うから。それと、みんなの部屋にその瀕死体たちを捕まえたままでいてくれ。少しでもDPが欲しいからね。でも、歯向かってきたら適当に痛めつけてもいいから、逃げられないようにだけしておいて、ついでにコア部屋には絶対入れちゃダメだよ。」


「了解。」


「明日、また、頑張ってくれたら、もう少しだけ警戒が楽になるようにしようと思ってるから、今日は悪いけど、さっき言った感じで頼むよ。なんかあったら念話で知らせてくれ。」


と、奥の部屋。コア部屋に向かう。


 とりあえず、ログアウトはせずに離席状態にして、晩飯だ。色々あったせいで、昼飯を逃してしまった。まぁ、1食分の食費が浮いたので、そんなに悪いことではないな。


 明日以降のことも考えて、少し多めに冷凍の弁当を買いだめするために、近所のスーパーに行く。


「これだけあれば、数日は持つな。」


ただでさえ負け組なのに、ダメ人間まっしぐらである・・・

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