安全第一
町長とギルマス、そして俺。その三者での契約が成ってから数日が過ぎた。
その間、俺はと言うと、愛も変わらずDP集めに奔走していた。
そうそう。そういえばこの前の契約した時に見せてもらって、こっそり撮った地図だけど、「始まりの街」はこの大陸でも「南東」の方にある。
この大陸は、中央から見て西側の「諸国連合」と、東側の「クレスト王国」で真ん中から東西に真っ二つに割れてるらしい。
諸国連合は、常に紛争は起きているものの小競り合い程度のもので、たまにどこかで国が潰れては新たに国ができていて、どこがどこの国なのか、随時変化があるっていう話。
クレスト王国は、国は一つだけど、領主同士が足の引っ張り合いをしていて、国の疲弊まではいかないものの、発展もしないらしい。
言ってしまえばこの大陸は、しばらく大きな変革は無いようだ。 あえて言うなら、プレイヤーの分だけ、王国の人数が増えてそれの影響が多少ある程度だ。
因みに、俺の探していた土地。というのが、町長曰く「諸国連合」なら、能力次第で土地を手に入れることは可能じゃないか?って感じらしい。
だけど、俺が目をつけたのは大陸の東端だ、「クレスト王国」の東側のさらに東。つまりこの「始まりの街」がる場所。そこより東に進むにつれ徐々に自然の恩恵が少なくなり、大陸の東端は、ほぼ砂漠化しているというのだから、ダンジョンをこっそり運営していくにはいい場所だろう。
ああ。それと。 町長は他の大陸の情報は無いらしく。ギルマスのタナーも情報は持っているが土地絡みのことは殆ど知らないらしくて、地図もないと言う。結果として他に大陸が2つあるという程度しかいい情報はない。
ここ数日いろいろ考えてはいたが、次のバイトのある日が来るまでは、大きな行動を取ることを控えることにしていた。
俺の考えは、今までのダンジョンには無かった考えだと思う。
普通、諸説あるダンジョン経営というものは、直ぐ傍に別のダンジョンマスターが存在するダンジョンがあったり、理由は色々だけど、ダンジョン自体を深く掘り下げ或いは塔の様なものは高くして、その上でモンスターた罠を配置していると思う。
だが、この大陸には、他のダンジョンは存在しない(ギルドマスターのタナーに確認済み)ため、特に深くしていく必要もない方法を取ろうと思う。
それにダンジョンに誘い込まないとDP的なモノを回収することが出来ないために、誘い込む形を取るダンジョンは良く聞くのだが、俺は違うやり方をしようとしている。
その考えとはこうだ。
まず、現在のダンジョンの確認からだが。大陸の東側「クレスト王国」の中でも南東側位置する「始まりの街」より東に位置する森がある。
その森全体とコアのある地下、そして手造りの小さな洞窟、その東側にある小高い丘と麓の泉近辺。 この辺りが今の俺のダンジョンの範囲だ。
俺はダンジョンを深く作って誘い込むのではなく、ダンジョンの地上の領域を広げていく。 そうすることによって、その領域で日々暮らしている者が居るおかげで、領域を広げれば広げるほどDPは増加の一途を辿る。
もし、ある地域でダンジョン化を把握出来るものが居たとしても、大陸に広く行き渡っている領域内でのコア捜索は至難を極めるだろう。 それにそのダンジョン化を把握できた誰かが居ても、バレた段階でコアを守る措置を講じればいいのだ。
そういうことなので、手始めにここより東側を領域にするために動くことにする。人間のいる地域を領域にすることで、得られるDPは増えるだろうが、今はバレた時の対処出来るだけのDPは無いのだから。
そして、人型で土地を得ようとすることも、下手に行動しようとして不測の事態が起こるより、大人しくしておき、スライム型ダンジョンマスターとして時間を有効利用する方が得策だ。
配下モンスターもいきなり増やそうとはしない。その分DPは領域の拡大に費やすのだ。
「ただ、やはり、もう少しだけコアの守りが欲しいな。」
今日も、相変わらずの独り言を発する。
という事で、ちょっと地下ダンジョンを弄ることにする。
中ボス部屋の有った場所に、100mの円形の森林型のフロアを作り、そこに今まで出会った野良モンスターの番を2ペアずつ放し飼いにしておく。
次に階下に降りる階段を設置し、その先は殺傷力の高い罠を張り巡らせた通路を設置。
そして、その先は移動させた中ボス部屋を置きミノタウロスに任せる。
その先は、20m四方のフロアを作り、手前側を毒沼地にし、奥側は普通の固さの地面にして狼たち配下を配置。 それで最後にコア部屋にする。
これでコアは安全になる。
森林型フロアで野良モンスターの繁殖促し新しい生態系を確立する。
ここまでに来れた野良モンスターは、そこに馴染むか駆逐されるかするだろうし、勇んで探索しに来た冒険者も、ここで多数のモンスターとの戦闘を余儀なくされるだろう。
先へ進んでも、罠やミノタウロスにやられるだろうし、その先へ来ても、毒沼で俺の配下たちに勝つのは簡単ではないだろう。
こうして、俺は人気の少ない砂漠方面から、地上のダンジョン領域を広げるべく動き出す。
DPの消費も節約のために、地下部分は自動修復にしておき、地上部は放置だ。
さて、そうしてまた一週間が過ぎ、バイトを終えて帰ってきた。次の一週間でやることは決めている。
現在、領域は森から東側の地上部分は、全てが俺のダンジョンの領域と化したのだ。
海まではまだ手を付けない。
次は、「クレスト王国」内の、人が住んでいない地域のダンジョン化を目指す。 領域を増やしていったおかげで、DP収入も増え、領域拡大が加速する。
配下たちは、常に地下ダンジョンに配置させているため、今は動かせる手駒は無いが、自分自身は身動き可能だ。 だが今回は狩りではなく、ダンジョンシステムの一部を改善するのだ。
・ダンジョンコアが破壊されない限り、ダンジョンマスターは24時間後、ネームドモンスターは、48時間後に復活が可能。
この部分を弄る。 今までのこの部分に、
復活対象は、その復活までの必要な残り時間とその強さによって、DPを消費し即座に復活が可能となる。 復活場所は配置場所もしくはコアのある部屋を選べる。
これを付け足す。
そして新しくシステムを作る。
・ダンジョンマスターがDPを使用し作ることが出来るものは、既存のものに加え、ダンジョンマスターの持っている概念やイメージをもって創り出すことも可能。
これで俺は、少しでも今後マスター業?をやりやすいようにした。
普通じゃないダンジョン運営を目指してますw




