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暁の英雄〜とある少年が英雄になるまでの物語〜  作者: �����
第壱章 異世界セットアップ
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第六話 動き出した歯車④

1週間に一回ペースと言ったな、あれは嘘だ。



それはもう凄かった。木がドミノ倒しの様に何本も折れていた。しかもその先には折れた木と一緒に黒い物体が転がっていたのだから。


なにより、自分の身体の何倍もの大きさの物体が物理法則を無視しての出来事だったのだから……


「えぇー…うっそだろお前…」


どうしてこうなったのか、遡ること十数分前…


将生はある一つの憶測を立てていた。先程、触った草が幻、立体映像みたいなものだと気づいた。

しかし走り出したはいいが、立体映像だからといって倫何処に行ったかはわからないままだった。


ふと空を見上げた。青空から降り注ぐ光は木々に遮られることなく地面に当たる。

この立体映像を見てからは、実は何かの施設か何かじゃないのか?と疑ったりもしてみた。しかしあの双角の獣といい時代遅れの馬車、なにより陽の暖かさ風の動き……


「枝が動かない?…そうか!」


よく目を凝らして森全体を見渡すと、風で枝が揺れているものとそうではないものがあり、揺れ動いていない木は一直線に出来ていた。


そこからは早かった。少し進むと奥に何かがいるのを見つけた。


そこには全身黒くて大きな獣がゆっくりと歩いていた。


「アレは…」


湖で見た奴だ。さっきは突然の事で容姿をはっきりと見れなかったが、湖で見たやつと一緒だ。

一見、狼を拡大したような感じだが、眼球は黒く瞳は朱色、全身も真っ黒な毛に覆われている。なにより特徴的なのは額の双角だ、そこだけ綺麗な白色で、まるで新品のようだ。


「化け物かよ…何だっけ、魔獣とか言うのだっけ?」


将生は智子が学校で朝に読んでいた小説の挿絵を思い出した。…その時ウヘウヘ独り言を言っていて怖かったのを覚えていただけなのだが。


魔獣は自分の強さに自信があるからなのか、警戒している様子が少しも見受けられなかった。


「それより倫は何処だ、逃げきれたのか?くそ、草木が邪魔ではっきり見えないぜ。」


倫が本当に大丈夫か確かめたいが、いざ対面してみると足がすくんで上手く動けなかった。

魔獣に気付かれないように将生は抜き足差し足で近づいていった。が、


パキッ。


「あっ…うそだろ…」


足元に注意しすぎたのか頭上の枝に気付かず、ぶつかって音を出してしまった。


魔獣はゆっくりと音のした方角に振り向いた。


…うん、逃げよう、こんなの無理だ。ここには倫もいないしこんな奴から早く離れないと…


本能が逃げろと叫んでいる。しかし、体が動かない。赤い瞳がこちらをただ見つめているだけなのに、まるで金縛りに掛けられているようだ。実際、朱色の瞳の眼に動けなくするような能力等は備わっていないのだが。


そこから魔獣は一歩ずつ、ゆっくりと、慎重に、こちらに向かってくる。しかし、こちらは未だに身体が言うことをきかない。声すら震えて上手く出せないのだ。


…落ち着け俺ェ!…あれだ!海賊〇とか龍〇Zとかでよくあるシーンじゃねぇか、ここは勇気を出して叫んで立ち向かうのが主人公じゃないのか?よしっ!


また一歩近付いてくる。


……よしっ!じゃねぇぇ!ムリムリムリムリ!どうやって倒すんだよ!てかまだ身体動かねぇし!誰か助けてくれぇぇ!


しかし、声は出ない。そうこう思考している内に、とうとう将生と魔獣の距離は、魔獣が飛び掛かれば一歩で届く距離まで近づいてしまった。


…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛俺もそっちに行くぜ倫…

ってかアイツの口元に血が付いてない?倫はアイツから逃げて助かったのか?

…それなら俺でもいけるのか…そうだ、ここを乗り越えて皆の所に戻らねぇと笑われちまうしな、仕方ない、やるか。


「……ぅ、ぅぅううおおぉおおおぉおあああぁぁぁ!!」


叫んだ。思いっきりこれ以上無いと言えるほどだ。そして地面を思いっきり蹴った、ヤケクソ特攻だ。


そして魔獣はいというと、様子がおかしい、将生自身は気付いていないが完全に白目をむいていた。理由は追々に説明するが結果から言うと、魔獣も反射的に飛び出していたのだ。


「……あ、いた!…ってあれ?」


直後、辺り数メートルを吹き飛ばす爆風が起こった。


「痛つつっ!な、何が……」


土煙が晴れ、辺りが見渡せるようになったと同時に将生が目を覚ました。そして、


「えぇー…うっそだろお前…」


周りの木々が薙ぎ倒され、見るも無惨な広場になってしまった。

そして、魔獣もかなり吹き飛ばされていて動こうとしない。将生はほっとため息をついた。

そういえば、さっき女の子の声が聞こえたような…


「なによ!もう!」


将生は辺りを見回した。しかしどこにも声の主はいない。


「あれ?いな…げぶっ!」


真上から将生の所に落ちてきてた、しかも腹の上に。幸い、ギリギリのところでキャッチ出来たはいいがそのまま落ちていたら確実に無抵抗に将生の内蔵が破裂しただろう。

普通ならマンガやゲームでよくある話なのだが、これは違う。重力に従って落ちてきた、謎の石や光に包まれてゆっくりとじゃない。だから普通に…


「……重い。…あっ!いやっ、違う!いや、間違っグボッ!」


「…最低!変態!貴方、デリカシー無いわね。」


見知らぬ少女は顔を赤くしながら言った。


「ごめん、けどそっちだって悪い所があるじゃないか。だいたい受け身をとっていない奴の上に降りるなんざ危ないっての…」


「それは貴方がとてつもない威力の魔術を使うからでしょ!私が風の魔術で上に飛んでなかったら、あの魔獣のように死んでたわよ。」


「あれってやっぱり俺が?魔術?まさか、有り得ないだろ。」


「ならさっきの大型の魔獣を吹き飛ばす程の化け物じみた力は何なのよ。」


…確かにそうだよな、てかやっぱりあれ大型だったのか。


笑って誤魔化そうとする、だが少女の顔は笑っていない。だんだん笑い声が掠れて空気が悪くなっていく。


「ははは…えぇーと、名前は?」


「……リリ、リーシャよ。あなたは?」


「俺?俺は将生、よろしくリーシャ。」


「マサキね…で、要件は済んだの?ならあの黒い魔獣を持っていくの手伝うわよ?もちろん運搬費は貰うわよ。」


運搬費?…そうだ倫、あいつのこと忘れてた。まさか食われてないよな?

将生はヨロヨロと倒れた魔獣の所に向かった。


「うーん分かんないな、童話のテンプレだとオオカミの腹を切り裂いて救出ってな訳だけど…」


「腹を切り裂くの?刃物がいるでしょ?ほら。」


そう言ってナイフを一本差し出してきた。


「サバイバルナイフじゃないのか?」


将生はふと疑問に思ったことを口にした。


「サバイバル…ナイフ?何よそれ、初めて聞いたわ。このナイフじゃダメ?」


「え?いやっ、だか…いや、何でもないよ。ありがとう。」


…サバイバルナイフが伝わらない?ますます雲行きが怪しくなってきたな。てかこれ解体の仕方分かんねぇよ。とりあえず裂くか?


「生き物の腹を裂く体験なんてそうそう無いぜ俺?これはラッキーチャンスだと思え、オオカミさんごめん!」


ナイフの刃を腹に突き立てようとした瞬間、後ろの方で木が倒れる音がした。二人はその方向を向くと、これと同じ魔獣がもう一匹現れた。しかも一回りも二回りも大きい奴だ。


「え?」


「なん…だと!?」


補足情報


魔法→スペルと読みます。日本語表記にすると一番近いのが魔法です。


リーシャ→咄嗟の偽名


以上!



本編構想が出来てきたのでとりあえず書いていこうかなぁ、と思ったり思わなかったり…

この話も必須イベ入れたら4か5章分は構成考えてるので。

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