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暁の英雄〜とある少年が英雄になるまでの物語〜  作者: �����
第壱章 異世界セットアップ
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第四話 動き出した歯車②

まだ4話ですが、この1章が長引きそうな予感がしてきた…まずい、チートチート詐欺だわこれ…


最後だけ若干グロシーン入りますのでご注意下さい


 


「…何故止まらないの?」


 声の主は、丁寧に手入れされた透き通るような黄金の髪をたなびかせ、街を歩けば振り返らない人はいないと思わせるような顔立ちの女性だった。


「リリーシャ様、あの様な者共とは関わってはいけません。どうせ盗賊の罠でしょうね。」


「でも…」


 リリーシャ様と呼ばれている女性はしつこく迫った。


「でもじゃないです。仮に本当に助けを求めていたとしても、全てに手を差し伸べていてはキリがない!次期女王としての自覚を…」


「ベスター、それ以上言ってはならん。あくまで我々は只の冒険者、気を付けられよ。」


 ベスターと呼ばれる御者の男はリリーシャの付き人、見た目は好青年そうだが口が悪く、揉め事を起こしやすい性格だった。


 だがそのせいか、彼女にはあまり人が寄らなくなっている恩恵もあったりする。


 そして、ベスターを諭した男は結構な歳をとっており、艶の無い萎れた白い長髪を紐で括っただけという髪型をしている。彼は身体はも大きく、そこに居るだけで他を威圧する程の雰囲気を醸し出している。


 その時リリーシャが何かに気づいたのか、荷台の後ろから顔を出した。


「ベスター、止めて!」


 リリーシャがベクターに聞こえるように叫んだ。


「次はどうしたんですか?」


「一人森に行ったわ!」


 リリーシャは少年が少女の頭を叩き、森に入っていくのを見たのた。


 ベスターは深くため息をついた。


「はぁ……それただ仲間の所に戻っただけなんじゃ…」


「…っ」


「ダメです。」


 ベスターは馬車のスピードをゆるめることなくリリーシャに構おうとしなかった。


 それでもリリーシャは引き下がる訳にはいかなかった、彼女の困っている人を見過ごす訳にはいかないという信条がリリーシャの我儘を加速させていく。


 これ以上説得するのは無理と感じたのか、リリーシャは大きく息を吸いこんだ。


「止めなさい!止めて!これは命令です、今すぐ止めて探知の魔法で辺りを調べて!」


 ベスターはあからさまに嫌な顔をした。


「んー、俺達は冒険者なんで、命令される筋合いとかはぁ…」


「屁理屈はいいから!」


「はいはいわかりました。とりあえずり戦闘準備だけよろしくお願いしますね、っと。」


 ベスターは馬車を止めると、荷台の屋根の上に登り、辺りを見渡した。


「さーて、やりますか。『ディアナの権限を以て命ずる、風よ風よ舞え流転せしその舞は我が目となり耳となり足となれ!』」


 ベスターが目を瞑り唱えると、周りの森が少しざわめいた。


(んー、いない?反応は三人で、動いているのがさっきのガキだとして…つか早っ!なんつー速度出してんだあのガキ、助ける必要あるか?……んん?おっとやべぇ、思ったより結構寄ってきたな…)


 魔法を使うと拡散された魔力に反応した「魔獣」と呼ばれる存在が強い魔力反応に釣られて集まってくる。


 この魔獣は人や動物には感じ取れないものを感じ取ることが出来る『角』を持っている、第六感ではなく匂いなどとと同じように感じることが出来る。

 そしてごく稀に魔力を感じ取ることが出来る人もいるとか居ないとか……閑話休題。


 ベスターはしゃがんで顔だけ足下の荷台の中に突っ込んだ。


「おやっさん!急いであの二人連れてきてくれ!魔獣がいつもの倍だ、これじゃ戦いにもなんねぇ!」


「うむ、承知した。飛び出して行ったという方は?」


「そっちは大丈夫だと思う、とりあえず女二人が危ない!」


 男に続きリリーシャも立ち上がった。


「私も行くわ!」


 リリーシャは初老の男が荷台から出ようとするのを引き止め、自分も行くと言い出した。


「ダメです、ここは私が片付け出すので。リリーシャ様はここでお待ちを。」


「いや、ここは俺から離れた方が得策かもしれないですね、この量は自分を守るので精一杯だとおもうんで。」


「…と、いうことよ。行きましょう!」


「リリーシャ様、絶対に決して何があってもたとえ天地がひっくり返っても、私から離れないようにして付いて来てください。」


「……それは言い過ぎじゃない?」


 リリーシャ達は荷台から飛び出し、二人の元へ全速力で駆けて行った。


 ちなみに、紗英達とリリーシャ達の距離は大体三百メートル以上空いている。地球の人間では大体百メートル十秒~なのだが、こちらでは速い者は五秒を切るほどの速さである。

 つまり、十五秒程で、リリーシャ達は紗英達の元に辿り着く計算である。


 しかし、そんなに上手くいくはずもなかった。二人の前を遮るように三匹の六本足の黒く染まった虫の魔獣が出てきた。


 三匹の内二匹は鎌のような前腕を掲げ、威嚇する構えを取った。


 そして最悪なことに、残りの1匹はへたり込んだ紗英達の所へ向かっていた。


「いけない、二人が危ない!」


「リリーシャ様、肩に!」


「わかった!」


 リリーシャは目の前にある肩を掴むと、自分の身体を持ち上げ、肩から虫を飛び越えようとジャンプした。


 しかし飛び越えるのを阻止しようと、黒虫たちが羽を広げて飛ぶために四本の足に力を入れた瞬間、


「足元が疎かだ。」


 初老の男は腰に下げている剣の柄に手をかざし、少し刀身が長い剣を引き、虫達を横から一閃した。


 しかし虫達は斬られたのを気付かず、飛ぼうとした。

 だがそれは叶わず、上半身が下半身からずり落ちた。


 リリーシャは下で二匹が落ちたのを確認すると、両腰の細剣の内の1本を抜いて下に持ち、紗英達二人に迫るもう1匹に向かって落下した。


「やぁぁぁぁぁ!!ぁ…ってあれ?と、届かない?」


 残りの1匹の黒虫が思ったよりも素早く、リリーシャの突撃は間に合わない。


 と思った瞬間、後ろから何かが飛んできて虫の前の地面に突き刺さった。

 いきなり目の前に障害物が現れ、黒虫は軌道を変えようとスピードを落とした。が…


「間に合ったぁ!」


 黒虫がスピードを落としたおかげで追いついたリリーシャは頭を剣で貫いた。


 しかし、それでは虫の勢いが止まるはずも無く、頭の口から下が真っ二つに裂け、濃い緑の血を撒き散らしながらそのまま少女達の前に転がって行った。


 そして、頭から血を被った少女は…


「っ…ひぃっ…」


 ショックで倒れた。




魔法登場



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