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暁の英雄〜とある少年が英雄になるまでの物語〜  作者: �����
第壱章 異世界セットアップ
3/15

第一話 全ての始まり①

始まるゾ

 〇月の下旬頃、それもう少しで日が暮れようとしている時刻だった。

 夕焼け色に染まった田んぼに囲まれた田舎道をポツリと四人の男女が駄弁りながら歩いていた。


 先頭を歩く黒髪の少年「氷道倫」の隣にいるのが濃い茶髪の少年「近衛将生」、現在中学三年生で倫の同級生で幼馴染の親友である。

 そして、二人の後ろ歩いているのが将生と同じ同級生で幼馴染の黒髪ポニテの少女「藤野彩華」、彩華と手を繋ぎながら歩いているのが、兄将生と似つかない程明るい色づやのブロンドヘアーの少女「近衛桜」中学一年生である。


 彼らが住んでいるのは何もない田舎、田んぼや畑が住宅地の面積よりも広い村である。

 コンビニへ行くには山を一つ越えなければならない程だ。学校に行くにしても山を越えなければならない村に彼らの家はあった。


 そして彼らは今、学校から帰っている途中である。


 二人は野球部で部活のことについて話していたが、将生がふと我に返ったように振り向いた。


「日が暮れるのが早くなってきたな、早く帰らないと危ないかもな。」


「そう…だな、けどこれじゃあ走ったとしても間に合わないんじゃあないか?」


 将生と倫の二人の運動神経をもってすれば間に合わない事も無いが、彩華と桜はそれが出来ない事は将生にも倫にも分かっていた。


 考えながら歩いていると将生が、パッと閃いたように顔を上げた。


「そう言えば最近すげぇ近道を見つけたんだなぁこれが。」


「近道?」


 藤野彩華が間に割って入ってきた。


「そうだよ、()()!」


「そんなのあるの?」


「あるんだよなぁ、それが。」


「うっそだー、無い無いあるわけないじゃん!」


 彩華は笑っているが、全く信じていない様子だった。


「じゃあ、付いてこなくていいぜ?俺達は近道を使わせてもらうからな!なぁ倫俺たち友達だろ?」


「いいもん!私はさっちゃんと普通に帰るもんねー!ねー、さっちゃん。…勿論、倫も…こっちよね?」


 智子はニコニコしながら倫の顔を覗いた。


「そういう事だ将生、すまんな!」


 倫はニヤケ顔で将生をからかう。


「なっ、倫…お前まで買収されたのか!嘘だろ!?」


「嘘!?じゃ無いわよ!阿呆な事言ってないで早く帰らないと。」


「…じゃあいいぜ?俺は一人で先に帰ってお前らを待っててやるよ。」


 将生は道の先にある曲がり角を曲がらず、ガードレールを乗り越え草木が鬱蒼と生い茂る森の中に入っていった。


「はぁ…仕方ないな彩華桜、とりあえず付いて行こう。流石にアイツ一人じゃ危ないからな。」


「わ、分かったわよ、行けばいいんでしょ!行けば!…倫がそう言うなら仕方ないもんね……」


「りょーかい、追っかける。」


「ん?彩華ごめん今なんか言わなかったか?」


「言ってないわよ!ささ二人共、早く行こ!ね!」


 彩華は倫と桜の背中を押して急かした。


 ちなみに、倫は彩華の顔が赤くなっていたのには気付いてはいない。隣の桜は気付いているようだが…




「これって本当に大丈夫なの?迷ってない?迷ったなんて言ったら怒るんだから!……ねえ本当に大丈夫なの?」


 智子達が不安になってきた時、不意に将生が立ち止まった。


「将生?どうし…な!?」


 四人の目の前にあったのは木で覆い隠され苔が生い茂っていて、車一台が通れる程度の幅で、向こうに微かに光る出口が見えるトンネルであった。


「なっ、これならギリで間に合うだろ?」


 将生はドヤ顔でトンネルを親指で指した。


 トンネルの入口にはフェンスも何も侵入を防ぐ物は無く、野晒しにされていて、突然落盤してもおかしくないなと倫は思った。


「これ危なくない?」


 彩華もそう感じていたらしく、ちょっと嫌そうな表情をしていた。


「大丈夫大丈夫、前に一回通った時も何とも無かったし。」


 桜もこのトンネルを使うのには反対した。


「お兄、なんかここヤだよ。雰囲気がキモいよ?」


「なんだなんだぁ?さーくらちゃんはどこでそんなお下品な言葉を覚えたんだぁ、お兄ちゃんは悲しいぞぉ?」


「「お前の方がキモい!!」」


 倫と彩華の声がハモった。


「酷い!二人してまで俺のことを…」


 泣き崩れるフリをしている将生の肩を桜が叩いた。


「今のはお兄の事をキモいと思えたの。」


「ぐっはああぁぁぁぁぁっっ!!!!」


 将生は海老反りになって胸の心臓の辺りを掻きむしった後、その場に「バタッ」とわざとらしく言って倒れた。




「という訳で、行くか。」


「どうしてその結論になるのよ!」


 彩華がツッコんだ。


「だってさもう暗いし遅いし。」


 将生は指を上に指しながら言った。


「はぁー……ホントに大丈夫なのよね?突然天井が崩れたりとかしない?」


「大丈夫だって…前に言った時は大丈夫だったんだって、多分。」


「はぁ?多分ってどういうことよ、多分って!」


 彩華が将生の胸倉を掴んで揺らした。


「まあ落ち着いてくれ、どうやら引き返すにも無理そうだしな…なんだか急に雲行きも怪しくなって来てるみたいだし。」


 倫は森と空を指さした。


 森は何だか薄暗くてよく見えないせいか、とてつもなく不気味に思えた。


「すまない彩華、もう少し将生に付き合ってくれないか?」


 倫は小声で彩華に耳打ちした。


「……。」


 彩華は無言で小さく頷いた。


「…さぁ、行こう。早くしないと俺も母さんに怒られる。」


「そうだぞ倫の言う通りだ、行こう。」


「お前が言うな!」


 そして将生らは少し駆け足でトンネルに入っていった。


 しかし、桜一人だけはトンネルの前に立ち止まり続けた。


「お兄、やっぱり危ないって!」


「どうした桜、置いていくぞ?怖のか?大丈夫、兄ちゃんが付いてるからさ。」


「そうじゃなくて…」


 しかし急に後から肩を叩かれ、桜の説得は失敗に終わった。


「まぁ、あいつのバカはいつものことだから気にするな。とりあえず、はぐれないように付いて行こう。」


 倫は桜を何とか説得し、トンネルに入っていった。


(本当に何か嫌な予感がするのに…)


 紗英の声は虚しく響いていく…





「将生達遅いの…いつもならこの時間には帰ってきてるんじゃが…いかんな雨がきつくなってきよったわい。」


 顎鬚が白く染まった老人が呟いた。


「親父、俺が見に行くよ。山は地盤が緩くなるから何かあったのかもしれん…」


 つなぎを着た小太りな中年の男はバンに急いで乗り込み雨が降る暗闇の中をライトだけを頼りに車を走らせた。



 一方トンネルの入り口では雨の勢いが強かったのかトンネルの壁に付いていた汚れが落ち、そこに文字が浮かび上がった!


 その名も…『神通トンネル』!





感想とか書いていってくれたら嬉しいです。


ダメ出ししても構いません、糧にしましょう!

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