プロローグ 現実の異世界の自称神
俺、ヤエナギ シュウの元に謎の小包が届いた。もちろん俺はこんな物を注文した覚えなどない。しかし…ゲームと書いてあると開けずにはいられない。
「えっと…異世界にご招待?なんだこりゃ」
見たところPCで起動できそうだ。
早速、高校のゲーム仲間を呼んで、起動してみることにした。
「おっす!シュウ!」
「あ、来たか、マナト」
彼はタツキ マナト。俺のゲーム仲間だ。
「やっほー!シュウちゃん!」
「スズも来てたのか」
彼女はヤマナミ スズカ。同じくゲーム仲間だ。
ディスクをPCに挿入する。
すると画面が切り替わった。画面には「いつも通りのRPG」と表示されている。
また画面が切り替わり、何人でプレイしますか?と表示された。このゲームは一台のPCで複数人プレイできるらしい。RPGなのにどうするんだが。
「三人っと!」
シュウがプレイ人数を入力し終えると今度はプレイヤー名を入力するらしい。
シュウはこの三人が全員、自分の名前でいつもゲームをプレイすることを知っていたのでそれぞれに、名前を入力しゲームスタートをクリックした。
しかし、何も起きない。
PCが壊れたのかと思ったがどうやらそうではないらしい。
次の瞬間、三人の意識が急に遠のいた。
三人が目を覚ますとすでに半日が経っていた。
夕食の時間は過ぎているのでいつもなら呼びに来るのだが…
不思議に思い三人は1階に降りた。誰もいない。
「おい、なんか気味悪いな。なんか出るかもしれないぜ」
「マナト!変なこと言わないでよ!」
スズのいつもの覇気のある声が今では暗く沈んでいる。
「はい!そのなんか登場!」
声がした方を見ると20代くらいの男が立っていた。
「誰だよ!泥棒か?」
「違うよ、僕はね、「神」だよ。まぁこの世界でだけなんだけどね」
唐突に変なことを言う。神だと?
「君たちはあのゲームをプレイ「している」んだよ」
自称神の男がニヤニヤしながら言う。
「僕はね、君たち、プレイヤーに合った能力を授けるのが仕事なんだよ」
さらに男が続ける。
「今、ここはゲームの中。とは言っても一応、異世界だ。今君たちが見てるいつも通りの家の中の風景もそれは異世界のものだ。この世界には亜人だってモンスターだっている。君たちにはこのゲームのラスボス、魔王を倒して貰いたい。魔王を倒したとき、君たちが望めば元の世界に戻してあげるよ。そしてなんでも願いを一つ叶えてあげよう」
そこまで言うと自称神は姿を消した。
変わりに今、三人の手元には本がある。
開いてみると、読めない言葉がぎっしりと…いやだんだん読めるようになってきた。
そこには自分達の能力が示されていた。