奴隷+常識=ならば言うことはない
「アイリ」
「え?」
何か呆けている。…聞こえなかったか?
「君の名前はアイリね。」
確か犬種の名前だった気がする。赤髪なので丁度いいかなぁと思った。
「あ、ありがとうございます(泣)」
「お、おい。そんないきなり泣くなよ。」
な、何だ?そんなに元の犬って名前が嫌だったのか。……確かに嫌だよな。
「す、すいましぇん…ううっグスッ」
とりあえず俺は抱きしめる。何だろうね、やっと一般人みたいな名前を手に入れられてそんなに嬉しかったのかね?…まあ、いいか。抱きついたら落ち着くだろうし。
「ふぇ?」
「ほら、泣いていいから。」
……………………(少女いや、アイリ号泣中)描写はなしだ。
「す、すみません。」
「別にいいよ。それより、大丈夫?お腹すいてない?」
ああ、そういえば名前を受けたら奴隷って言っていたから俺がこの娘を養わないといけないのか。
女の子をジロジロ見るのはいけないと思うが、一つだけどうしても気になることがある。
あれだ、凄い痩せている。
普通の痩せ気味の人みたいな見た目じゃなくて頬が痩けていて髪は伸びまくり艶もなくボサボサ。出る所は普通に出ているが、風が吹けば倒れてしまいそうな体。一言で言うなら木の棒。
せっかく可愛いのに色々残念である。奴隷商人はいったい何していたんだろうか。もしかすると碌に飯も食わしていなかったのかもしれない。
本人は平気そうだが、見ているこっちが可哀想に思える。
「とりあえずさ、まだ街が見えないし、日が傾いてきたから、今日はここで野営しようよ。」
「はい!」
元気でよろしい。父親ってこんな気持ちなのかな?
じゃあ、カバン取り出してっと。
「?何をするんですか?」
「まぁ、見ていなって。見渡す限り草原ばっかりだし、人いなさそうだから多分いいよな。」
ハイッ ログハウス バーン ドシーン
「…………?!」
おおぅ。唖然としてやがるぜ。まぁ初見でこれは驚くよな。
ん?こんなのどうしたって?あれだよ、森から出るまでに俺が使っていた小屋。
愛着有ったし、なんか勿体なかったし。カバンに仕舞えた時はびっくりしたが。
まあ、そのせいで、なぜかシイナという仲間に出会えたけど。〈(//∇//)〉誉めてないぞ。寝ていろ。
閑話休題
とりあえずだ、野宿するのは危ないし、せっかく住むところがあるならそれに越したことはない。
唖然としているアイリを引っ張ってログハウスに入る。
そういえば犬ってイモ好きだったよね?何かで聞いたことがある。
あの後、唖然として動かなくなっていたアイリの意識をなんとか取り戻して、現在ログハウスの説明中。
「まぁ結局、こうゆうことを俺ができるのは頑張ったからだよ。」
「はわぁ~そうなんですか。」
以外とすんなり信じた。
まだ教育前の彼女は、知っていることといえば、奴隷市場での常識、奴隷のこと、性行為、標準言語、文字ぐらいだそうだ。
奴隷市場での常識というのは、簡単に言うと、実力社会。容姿や能力が優れているものは優遇され、そうでないものはもはや人ではない扱いを受ける。
特に成人を越えてもずっと売れ残っている女性。だいたいの想像が付くだろう。
……これ以上は何も言うまい。俺だけじゃ何も出来んからな〈ヘタレ〉うっ
…俺は権力や身分もないし、ましてや勇者でもない〈…ですけど〉えっ〈なんでもないです〉…まあいい。寝ていろ。とにかくだ、今や奴隷制度はこの世界では当たり前だそうだ。一万年前にはなかったみたいだけど。それを排除しようとするなら世界のほとんどが許さないだろう。常識になってしまったことを排除しようとするのはきついからな。厳しいね、現実は。〈シリアス似合いませんね〉俺もそう思う。
性行為の方法は先輩の女性に知識だけ教えてもらったらしい。女性の奴隷は体で媚びらないと、色々酷いらしい。もちろんアイリは経験がない。
ちなみに、標準言語、文字は何故か日本語だった。意味わからん。
トーマ
◆スキル
《フラグメーカー》
《主人公補正》
《フィフスジョブ》
《感覚異常 Lv12》
《秀才の凡才》
◆EXP表示不可 next 職人:531,4271 賢者:132,481 アサシン:753,401 軍人:132,481
アイリ
◆スキル
《気》
《猟犬》
◆EXP 0 next 奴隷闘士:1