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神獣フェンリルはテイムされたくありませんっ!〜けど俺をテイムするはずの主人公に義務教育が足りてなさすぎるのでまずは教育しようと思います〜  作者: 咲田陽
第3章 港町パディス

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54.まあよろしくね

(あああああ公衆の面前で!やらかしたあああああああ言質取られた感じ……いや俺が1000%悪いんだけど!!でもそれ以外もなんかさあしっくり来ないっていうかさあ、不可抗力っていうか!出ちゃったんだよ〜!)


即座に脳内でわあわあ騒ぎ始めたルルフェル(尚、外ヅラは大変クールなままである)とは対照的に、男性陣の間には一瞬静寂が落ち、「お〜」という野太い歓声のあと拍手が巻き起こる。

紺くんが照れくさそうに後頭部を掻きながら、満面の笑みでぺこぺこお辞儀した。


(何拍手してんだ!指の骨折るぞ!やめて!)

いたたまれない雰囲気に耐えきれなくなってきたルルフェルに、更なる爆弾が落とされた。


「えーっ弟子!?やっぱりそうなんだ〜!」

洞窟内に明るい声が響き渡る。


ククルトゥスたちが開けた穴から、入浴し終えたブルーファントムの女性陣3人が、丁度帰ってきたようだ。

スッキリした顔で、わらわらしながら、上機嫌にルルフェルたちのところへ駆け寄ってくる。


(ああ……女の子たちも……聞いてたのね……そう……)

ルルフェルは今にでも砂になって、サラサラと消えてしまいたい気持ちになった。

これで一緒にいた全ての人に「俺の弟子」発言を聞かれていたことになる。


(なんてタイミングで言っちゃったんだ……)


と、聖女がルルフェルを通り越し、紺くんに近づくと、ガバリと抱きしめ、その頭を撫でた。

巨乳が紺くんの小さい身体を押しつぶしている。


「いいなあ〜私もこんなかわいい弟子ほし〜い」

紺くんは真っ赤な顔で「僕はルルフェル様の!弟子!なので!」とキリリと主張している。

なんだかよっぽど嬉しかったのか、顔だけじゃなく身体全体がほてっている気がするし、やる気がみなぎっている気がする。

ルルフェルはやれやれとため息をついた。


(10歳でも男の子だよな〜)

けど紺くんが聖女には目もくれず、ルルフェルのことをキラキラの大きな目でじっと見つめ続けていることに気づき、肩をすくめた。


「はい、離れた離れた」

ルルフェルは聖女と紺くんの間に割って入り、紺くんを咥えあげ、自分の上に乗せる。


「え〜ちなみに〜追加の弟子の募集とかは?してないの?」

聖女が、今度はルルフェルの方に近づこうとしたので、「弟子は1人で十分です!」と尻尾で追い払う。


「じゃ女子は出たみたいだし、水浴びしてくるから。リダス、場所教えてくれ」

少しでもここから離れたかった。


――――――


ブルーファントムの見つけた水場は、少量の水が通っている通路から、5〜10分ほど歩いた先にあった。

相変わらずルミナスモスにより神秘的に光る洞窟の中の行き止まりに、人が2、3人入れるくらいの、こぢんまりとした水場ができている。


「このサイズじゃ確かに全員では入れないな」

ルルフェルはため息をついた。

というか、狼のままでも入れない気がする。

自分たちの後にも人が入る予定だ。

考えなしに入ってしまい、水を全部流し出してしまったり、毛だらけにしてしまうのは避けたかった。

その為、ルルフェルは、ポンと人の姿になると、後ろに立っている紺くんの方を振り返った。


「じゃ、入ろうか」

紺くんに声をかけると、ルルフェルはひょいひょい服を脱ぎはじめたのだが、紺くんがの方は一向に動く気配がなかったので、もう一度振り返る。


「……」

紺くんは先程と同じ、真っ赤な顔のまま固まっていた。


「……?どうしたの?」

「……ッ、ありがとうございました!」

紺くんがガバリと頭を下げた。


「これから先、ルルフェル様の、でっ、弟子として!更に励んでいきますので!どうぞよろしくお願いいたします!」

ルルフェルは腕に服をまだ通した上半身裸のまま、固まった。


「……うん、よろしく」

色々言いたいこと、聞きたいことはわんさかあったが、ここで言うのはどれも違う気がして、ルルフェルは結局全てを飲み込んだ。


「ルルフェル様、そういえばなのですが……」

「んー?」

早く入ってしまおうと、ルルフェルの方は服を脱ぐのを再開したが、紺くんはまだ動かなかった。


「……弟子は1人で十分って……弟子は、今後も僕だけって、ことですか?」

「え?ああ、そうだね。今のところ紺くん以外は取る気ないかな」

「今のところ……」

(弟子入りさせてくれ〜ってお願いされても、取る理由ないし、俺が教えられることって限られてるしね〜)

予想外の質問で、特に深くも考えず、ルルフェルは軽く答えたが、ふと紺くんの顔を見てびくりと身体の動きを止めた。


その顔の上半分は立っている場所のせいだろうか、鼻の辺りまで濃い影がかかっており、その暗闇の中から、怪しく光る、大きな2つの紺色の目が、ルルフェルのことをじっと見つめていた。

10歳らしからぬ熱をその瞳が宿してぐにゃりと揺れる。


途端、ゾッとした感覚が、ルルフェルの背中を走り、うぶ毛が逆立つのを感じた。


(……獲物を狙う、テイマーみたいな目……)


しかし、その視線は次にルルフェルが瞬きしたあとには、消えており、いつも通り可愛らしく照れ笑いをしている紺くんに戻っていた。


「なら尚更、ルルフェル様の期待に応えられるように頑張りますね!」

「……そうね、でも今日の紺くんも十分すごかったよ」

ルルフェルは脱いだ服を畳んで地面に置いた。


少しずつ火魔法を放ち、水を温めていき、ちゃぽりと浸かる。


(……???見……間違いかな?)

ルルフェルは頭を捻ったが、深く考えないことにした。

弟子には元々なりたいって言ってたし、怨まれる理由にはなっていないはずだ。


ただ、紺くんが闇堕ちしたらどうなるかの片鱗を覗いてしまったような気がして、ルルフェルは改めていい子に育てられるように頑張ろうと誓ったのだった。

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