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神獣フェンリルはテイムされたくありませんっ!〜けど俺をテイムするはずの主人公に義務教育が足りてなさすぎるのでまずは教育しようと思います〜  作者: 咲田陽
第3章 港町パディス

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50. 魔剣士スキルはキッズに人気らしいよ


墓地の真ん中で紺くんとククルトゥスが激しく打ち合っている。


紺くんは両手での攻撃に加え、時々蹴りを繰り出している。

対し、ククルトゥスは紺くんの全ての攻撃を両腕のみで受け流していた。

恐らく手加減してくれているのだろうが、最初の方は片腕しか使っていなかったのに、それをやめているということは、紺くんがククルトゥスの想像以上に強かったということだろう。


「あっ」

紺くんが繰り出した左腕をククルトゥスに掴まれてしまったので、右手と脚をうまく使い、身体ごと上に振り上げると、ククルトゥスの肩に蹴りを1発入れた。


「「おぉ〜」」

ルルフェルとセブンが感嘆の声を上げ、リザリオは紺くんに拍手を送る。


「チッ早くて軽いな」

紺くんの身体をブンと空中に投げ、距離を取ったククルトゥスが忌々しそうに呟いた。


「いけ〜紺くん!やったれ〜!」

「もう1撃入れろ〜!君ならできる!」

「いいぞ〜少年!仇をとってくれ〜!」

「おいセブン!てめえはどっちの味方だよ!」

やんややんや好き勝手応援するルルフェルたち……ブルーファントムのメンバーも加わった、を、ククルトゥスがギロリと睨んだ。


「そりゃ、本当に貴方がやられるとは思ってませんし、今は頑張ってる少年の方ですよ」

「ずるいぞ!」

「貴方もう27なのにそんな子供っぽいこと言わないでください」

(ククルトゥスって27なんだ……)

ルルフェルはククルトゥスの顎を見つめた。


(髭生えてるしな(?))


ククルトゥスは走って戻ってきた紺くんと激しく闘いながらもセブンと会話していて、余裕である。

一方紺くんは、もう息が上がってきているようだった。

身体のサイズの違いから考えても、紺くんの方は全身を使って攻撃しているので、当然だ。


「脇が空いてるぞ、紺少年」

「うっ」

ククルトゥスが両腕を上に上げている紺くんの脇腹に、一撃を入れた。

攻撃の隙を突かれ、紺くんがよろめく。

攻撃自体は軽く見えたが、結構なダメージが入っているようだ。

脇腹を押さえ、前屈みになった紺くんの頭を、ポンと軽く手刀のポーズでククルトゥスが叩いた。


「お前さんの弱点は脇の甘さと、攻撃の軽さだな」

「……ッ、ありがとう、ございます」

「スピードはいい感じだと思うぞ」

紺くんがぺこりとククルトゥスにお辞儀をした。

そのあとどのように鍛えればいいかを伝授してもらっている。

一瞬ルルフェルの脳内に、かわいい顔のまま、ムキムキマッチョマンになった紺くんのイメージがチラついたが、(どうせ主人公補正でイケメンに成長しますって!)と振り払う。


「ちょっと休憩するか」

「勉強になりました」

ククルトゥスと紺くんがルルフェルたちの元へ歩いてきた。


「いやあ、紺くんすごく強かったよ」

「ええ、立派だったと思います」

「あの蹴りは最高だったぜ!」

「おい俺に何か一言は」

紺くんがみんなからワイワイ何かしら言われている中、ほっとかれたククルトゥスは唇をとんがらせた。


「ククルトゥスさん、改めてありがとうございました!またお願いします!」

そんなククルトゥスに、紺くんが深々とお辞儀をする。


「おう!付き合い長くなりそうだし、修行見てやるよ」

「本当ですか!」

得意になったククルトゥスは鼻を高くし、紺くんは顔を輝かせた。


「意外と相性良さそうですよね」

「鍛えてくれる分にはありがたいな、俺そういうのよく分からないから不安だったし」

セブンとルルフェルも頷きながら2人が熱い握手を交わすのを見守った。


「そういえば」

ルルフェルがククルトゥスの方を見た。


「ククルトゥスって職業スキルは何なんだ?っていうか聞いていいの?こういうの」

ククルトゥスはピシリと一瞬固まった。

その様子を見て、セブンは仕方なさそうに肩をすくめると、ククルトゥスの代わりに答えた。


「ククルトゥス隊長は魔剣士です」

「へえ、かっこいいじゃないか」

魔剣士はその名の通り、魔力を剣に纏わせて戦う者のことだ。


(見た目も相まって、人気の高そうなスキルな気がするけど……)

ルルフェルが首を傾げていると、セブンが言葉を続けた。


「でも隊長は魔力のない剣士系のスキルの方が良かったそうなんです」

「なんかずるい感じするだろう、剣に魔法とかよお。やるならどっちかを極めたいじゃねえか」

ククルトゥスがはあとため息をついた。


「僕に言わせてもらえば、魔法が使えるだけ羨ましいんですけどね。あ、僕は剣士です」

ククルトゥスが自分のスキルについて話すと機嫌が悪くなるのはいつものことなのだろう。

セブンは軽く流すようにして笑ってルルフェルの方を見た。


「ルルフェルさん……は、ないんですよね、そういうの」

「そうだな。魔物には強くなることで得るスキルはあるけど、年齢によって得るスキルはないな」

ルルフェルは頷いた。


「魔力はどの魔物にもあって、基本的に種族によって使える魔法が違う感じだ。俺はそれに追加で、固有魔法を持ってる」

「……固有、魔法?」

リザリオが聞いてきた。


(いやお前喋れるんかーい!)

ルルフェルは心底驚いたが、態度には出さず、頷いた。


「ああ、俺はバリアが出せる。これは俺特有の魔法だな」

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