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神獣フェンリルはテイムされたくありませんっ!〜けど俺をテイムするはずの主人公に義務教育が足りてなさすぎるのでまずは教育しようと思います〜  作者: 咲田陽
第3章 港町パディス

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47. スティングホースは食べると美味い


食事後。


「ご飯食べると元気が出るよね」

「ああ、今なら……ッ」

シャシャ!とリダスが空中に向かってシャドウボクシングをした。


「なんでも倒せそうだぜ!」


ガララ……


ドンピシャなタイミングで、墓地の壁の外から石同士がぶつかる音が聞こえてきた。

恐らく外に通路があるのだろう。


「なんだ!?魔物か!?」

ルルフェル達とブルーファントムは戦闘に備え、身構える。

ルルフェルが1歩前に進もうとしたら、リダスがそれを止めた。


「神獣様には命と飯の恩がある。ここは任せてほしい」

ルルフェルは頷いた。


「出るならどんな魔物なんですか?」

紺くんがヒソヒソと1歩下がったルルフェルに聞く。


「ええと、洞窟の中にある墓地だからね。出るなら人の骨が歩き始めたスケルトンとか、吸血してくるコウモリ型の魔獣か、グロウディアかな。グロウディアは青白く発光している鹿の魔獣だ。肉体がほぼ腐って崩れ落ちてるんだけど、骨は綺麗に光ってるから、遠目からだと神秘的に見える」


「来るぞ!」

リダスの言葉と共に、墓地の壁が勢いよく崩れ落ちた。


「ん?」

「はぁあああ!いくぞ!」

「えっなんだ!?」


砂埃で視界不明瞭な中、様々な声が一気に飛び交った。


「っぶね!」

ルルフェルがブルーファントムの前にバリアを作り出す。


「でやぁっ!」

その直後、リダスの斧がバリアに勢いよく当たり、弾き返された。


「な!?急になにすんだよ!」

斧を当てられかけたククルトゥスは驚いて叫んだ。


「ククルトゥスさん!?」

紺くんが叫び


「人!?知り合いか!?」

驚いたリダスは、紺くんとククルトゥスを見比べた。


アォーン!ルルフェルは一度短く遠吠えをすると、ルルフェルを見て固まっている皆を見下ろす。


「とりあえず一度落ち着こう」

ルルフェルはバリアを消し去ると、腰を下ろした。


「全員味方だよ」


――――――


壁の向こう側の通路からやってきたのは、ククルトゥスとセブンとリザリオの3人組だった。


「わぁ!スティングホースだ!」

その姿を改めて見て、紺くんが驚きの声を上げた。


ククルトゥスたちは、それぞれが立派な体躯の黒い馬に跨っていた。

馬特有のしなやかで美しい筋肉に、サラサラとしたたてがみ。よく手入れがされているようだ。

そして何より特徴的なのは、頭部と、両肩と、左右の腰上辺りに生えている鋭い角だろう。


スティングホースは、文字通り自らの角を使って攻撃する。

角は全部で5本あり、頭部の角は全身を露出させているが、他4本は9割が肉の下に仕舞われている。


ぱっと見ユニコーンに見えなくもないので、定期的にユニコーンと間違えた人がスティングホースに刺される事故が起きている……これはあとでルルフェルが魔物図鑑で見た情報だ。


スティングホースは一般的な馬より忠誠心が高く、身体も大きく、スピードが出る。

その為、昔から貴族や兵士などに人気の高い種類の馬だ。


「ミヒヒ」

「どうも」


ククルトゥスのスティングホースがルルフェルに挨拶をしてきたので、鼻先をちょんと馬の頬につけて返す。

紺くんからキラキラした突き刺さるような目線を感じるが、ルルフェルはあえて無視した。


ククルトゥスたちが馬から降りると、ククルトゥスの腹が盛大に鳴った。


「お前もか」

ルルフェルはチベットスナギツネの顔になると、3人にもブッチャートの料理を振る舞った。

大量に仕入れたつもりだったが、残量を考えると、読みが甘かったかもしれない。


ククルトゥスたちが食事している間に、ブルーファントムにルルフェル達との関係性を、所々隠しながら説明したら、納得してもらえたようだった。


「ははあ、だからスティングホースに乗ってるのか」と美しい3頭の馬を見ている。


「いや、馬に乗ってくるのは知らなかったな」ルルフェルがククルトゥスたちをちらりと見たら、「徒歩じゃ追いつけないだろ。疲れるし」とごもっともなことを言われた。


そのスティングホースたちは……倒れてぐったりしている。

真ん中に紺くんがいるので、お得意のマッサージで陥落させられたのだろう。


(いっつも手が早いんだから!)

ルルフェルは、フン!と短く鼻息を吐き出した。


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