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神獣フェンリルはテイムされたくありませんっ!〜けど俺をテイムするはずの主人公に義務教育が足りてなさすぎるのでまずは教育しようと思います〜  作者: 咲田陽
第3章 港町パディス

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43. 早速問題発生ですか?


ルルフェルがギルドの屋上から隣の建物へと飛び移ると、運良くその姿を見た街の人々が、わぁっと歓声を上げた。

それにより後からルルフェルに気がついた人々も、熱が伝播するように、歓喜に沸き立っていく。


その中には、あの泣いて感謝していた親子もいた。


「ありがとう〜!!!」

ルルフェルは大勢の声の中に混じる、彼に届くように振り絞られた親子声を、しっかり聞き取りながらも、止まることなくココラスの街の中を駆けていく。

そしてココラスの城壁の下まで来ると、一気に飛び上がって城壁のてっぺんに着地した。


「いい眺め!」

ルルフェルは城壁の上から周りを見渡した。


ココラスの周りはどこも大自然に囲まれている。

広々とした森が一面に広がっており、その一部が切り開かれ、馬車同士がすれ違えるくらいの道が、城壁から遠くまで作られている。

また更に遠くには、青々とした木々に覆われた山々が連なっているのが見えた。


空気が澄んでいて気持ちがいい。ルルフェルはブルブルと首を振った。

ルルフェルが着地した時からひっくり返って倒れたままの、城壁の上にいた監視兵が「ヒャ」と震え上がったが、目線だけで敵意はないことを示す。


ちなみに同じ森だが、目の前に広がっているのは魔の森ではなく、メイリンの森と呼ばれる場所だ。

位置的にここは、魔の森とは反対方向である。


ルルフェルはホテルで眺めた、本屋で入手した地図を思い起こした。

この世界は、ルルフェルが前世で住んでいた地球よりも、シンプルな構成になっている。少なくとも見た目は。


大きな大陸が1つあり、あとは海で占められている。

また国という概念は無く、人々の所属を細かく分けるとしたら、街や村単位だ。

序列は、大陸の中心辺りに位置する、大陸を統一している皇族がいる王都が1位と定められているが、それ以外は多少の優先順位はあれど、優劣はないとされている。


ルルフェルがいた魔の森は、大陸の右上少し下辺りに位置している。そこから少し南に進めばココラス。

そして更に南に、メイリンの森を通って海の方へくだれば、今回の目的地。港町パディスに着く。


ルルフェルは倒れている衛兵を咥え、立たせてあげると(まだバイブのようにブルブル震えたままだった)、道について聞いてみた。


「この目の前の道をずっと進めばパディスに着くの?」

衛兵が震えるがままに、無言でこくこくこくと頷いた。

震えすぎて、兜が目を隠すようにずり落ちてしまっている。


「ありがとう!」

そう言い残すと、ルルフェルは勢いよく城壁を飛び降りた。


いつものように、足元に次々とバリアの板を魔力で構築し、そこを足場として森の上を進んでいく。


「あれ?道じゃなくて森の方を通るんですか?」

道に沿ってではなく、森の奥へと進んでいることに疑問を持ったのだろう。紺くんが背中から聞いてきた。


「うん、時間あるし、パディスでも換金できるように魔物を狩っておきたいと思って」

「なるほど、そうでしたか」

頷く紺くんを見て、ルルフェルはニヤリと笑った。


「ここの森の魔物は、魔の森のやつらより弱いはずだ。強くなりたいんなら、君の実践訓練にもいいんじゃないかな?」

「え!」

紺くんが強張った。


「もちろん、俺も全力でサポートするし、強い敵には合わせないから大丈夫!」

慌ててルルフェルが付け足す。


(訓練という名目で僕を酷い目に遭わせた!この鬼畜!って怨まれたら敵わん!)

ルルフェルは内心冷や汗をかいていたのだが、心配なかったようだ。

紺くんは拳を握りしめると、「ありがとうございます!ルルフェル様の期待に応えられるように強くなってみせます!」と力強く頷いた。


「俺も教えられそうなことあったら教えるから」

ルルフェルは微笑み……「あ、夕方辺りになったら文字とか数も教えるね」と慌てて付け足した。


目指せ無知脱却!である。


――――――


ココラスを出てから約1時間。

ビュンビュンと森の浅いところを中心にルルフェルたちは駆け回っていた。

その額にはうっすら汗が滲み出てきている。


(お、おかしい……なんで、なんで魔物がいないんだ!!?)


浅いところを中心に捜索しているとはいえ、割と広範囲を駆け回っているか、魔物1匹いやしない。

冒険者っぽい集団にはそれなりに会うので、魔物は生息しているはずなのだが、全然姿が見えないのである。


(なんで〜!!?)

ルルフェルは焦っていたが、紺くんも同じだったようだ。


「こんなに魔物っていないものなんですかね……?」

「あ、やっぱりそう思うよね?」

魔の森はルルフェルが10分も駆けずりまわれば群れている魔物など、約2、30頭は簡単に狩れる。

ルルフェルは頭を捻った。


(まあ魔の森は「魔の」って名前につくくらいだからな……他所と比べて魔物の数は多いんだろうけど)

魔の森がおかしいのか、メイリンの森がおかしいのか、よくわからない。

ルルフェルの過去の知識と比べようにも、数100年前だしで何も役に立たない。とても悲しい。


今の気持ち的には、RPGのメインの敵に挑む前に、最初の村に近い草むら彷徨いてレベル上げしようと頑張っているのに、全然敵と遭遇しないときに近い。


(あれ?こんなことある?バグか?みたいな……)

ルルフェルは短くため息を吐いた。


「魔物がいないならここに居てもしょうがないから、森の奥まで行くね。ご飯用にもなんかしら狩らなきゃいけないし、強い奴は俺が倒すから大丈夫」

「分かりました」

ルルフェルは、ココラスを背に、勢いよく駆け出した。

本日より第3章です!

よろしくお願いします。

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