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神獣フェンリルはテイムされたくありませんっ!〜けど俺をテイムするはずの主人公に義務教育が足りてなさすぎるのでまずは教育しようと思います〜  作者: 咲田陽
第2章 城壁都市ココラス

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37. 号外 1

「あっ……すみません、起こしてしまいましたか」

「ん……いや……って4時?」

ボーンと鳴った鐘の音の数に、ルルフェルは目を見開いた。

どうやら紺くんは、まだ薄暗い早朝に起き出したらしい。

ルルフェルはベッドの上でクッと前脚を伸ばしのびをすると、今度は立ち上がり身体をブルブル振るわせて眠気を飛ばす。

今は狼の姿だ。


飛ばしきれなかった眠気を大きな欠伸に変えながら、ルルフェルは昨晩のことを思いだした。


昨晩、ルルフェルたちが食事していると、仕事を終えたギルドの職員やら衛兵やらも次々に店にやってきて、最終的に飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎで終わった。

酒が飲めない分、ルルフェルは肉を大量に食べ、腹が満たされた頃にやってきた程よい眠気に促されるまま、ホテルに帰った……それが大体夜の10時くらいだったはずだ。

ふと隣の紺くんを見て、子供は寝る時間じゃないか!と思ってブッチャートから引き剥がしたのを覚えているので、割と正確に思い出せているだろう。

2人でホテルに帰ってからは、風呂にも入らずに、倒れ込むように寝てしまった。


(それでも睡眠時間は6時間にも満たないはず……)

ルルフェルはバリバリと後ろ脚で背中を掻きながら紺くんの方を見た。


「こんな早起きして、どうする気なの?」

「えっと……」

紺くんは僅かに頬を染めながら、恥ずかしそうに目を逸らした。


「しゅ、修行を……しようかなと……」

「修行〜?なんでまた」

ルルフェルは眉を軽く寄せ、両耳をピンと立てて紺くんに向けた。


まさか、昨日の失態で、ルルフェルを見限った紺くんが独り立ちする準備を始める気にでもなったのだろうか。

別に独り立ちするのはいいが、ルルフェルを情け無い狼だと思われているのなら困る……まあ紺くんを助けられはしたものの、あれが間に合ったといえるかどうかは微妙なところなので自業自得ではあるのだが。


ルルフェルが、どうやって挽回しようかと考えていたら、

紺くんがボソリと呟いた。


「ルルフェル様はとてもお強いので……」

「え?」

予想とは正反対のことを言われ、思わず間抜けな声が出る。そのまま紺くんとばっちり目が合ってしまい、ルルフェルは咳払いしながら首をクッと伸ばし姿勢良くすることで慌てて誤魔化した。


「あ、いや、続けて?」

紺くんが自嘲気味に微笑んだ。


「このままだと迷惑をかけ続けてしまうかなと思ったので、少しでも強くなりたいと、思ったんです。僕は弱いので……具体的にどう鍛えればいいかはまだ分からないんですが、せめて動ける身体だけでもつくっておこうかなと。1人でこっそり起きようとしたのですが……起こしてしまってごめんなさい」


ぺこりと頭を綺麗に90度下げると、紺くんは部屋を出て行こうとした。


「僕は走って来ようと思います。ルルフェル様は寝ていてください」

「待て待て」

脱兎の如くドアに向かった紺くんを呼び止める。


「は、はい。なんでしょうか?」

「俺も行く」


人の姿になったルルフェルが靴に足を突っ込んだ。


(なんていうか、失敗をめげずに糧にして強くなろうとするところとか、まさに主人公って感じなんだよな)

自分は紺くんが起き出さなければ、きっと昼までぐうすか寝ていたというのに。なんだかこちらが恥ずかしいではないか。


ルルフェルは紺くんに気づかれないように、小さく息を吐き出した。

紺くんが強くなることは、魔王を倒す為に必要なことである。

しかし一方で、それは、ルルフェルをテイムするという選択肢をちらつかせる要因ともなりえる。


「適度に頑張ろうね、適度に」

そう言うと、ルルフェルは紺くんを追いかけてドアへと向かった。


――――――――――



「号外、できたから今日から配ろうと思うんだけど……どこか行ってたの?」

ルルフェルと紺くんが街をひとっ走りしてきたあと、ホテルに帰ると正面玄関にヴァンドラがいた。


「基礎体力作りに」

ルルフェルが簡潔に答えると、ヴァンドラは「へえ」と紺くんを見た。

ルルフェルが言わなくても、走ると言い出したのが紺くんの方だと分かっているのだろう。


「真面目でえらいね、本当にギルドに欲しくなってきちゃった」

「おい」

ルルフェルがじとりとねめつけるとヴァンドラは肩をすくめた。


「というか、早起きできるだけでも貴重な存在なんだよ。みんな大体夜まで飲んだくれちゃうから」

「ああ……」

ルルフェルは昨日のどんちゃん騒ぎを思い出す。確かにあのお祭りの後に早起きは難しい。

ちらりと遠くの時計塔を見ると、現在は午前6時だった。

きっと他の職員達はまだ夢の中だろう。


ん?とルルフェルがヴァンドラの方を向くと、ヴァンドラは再び肩をすくめた。


「僕は号外ができたって新聞屋に叩き起こされたのさ」

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