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神獣フェンリルはテイムされたくありませんっ!〜けど俺をテイムするはずの主人公に義務教育が足りてなさすぎるのでまずは教育しようと思います〜  作者: 咲田陽
第2章 城壁都市ココラス

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21. ヴァンドラ 2

「僕の個室はここにはないから、支部長の部屋を借りようと思うんだよね」

歩きながらヴァンドラが話す言葉を聞いて、ルルフェルは首を傾げた。


「支部長?ってまさかヴァンドラさんはここのトップじゃなくて……」

「僕はギルド全体のトップで、各支部を定期的にまわってんの。ここ、ココラスのトップは別にいるよ〜」

(え?じゃヴァンドラさんって凄く偉い人じゃ……?)

ルルフェル達が首を傾げながらヴァンドラの方を凝視すると、「やん♡」とヴァンドラは良い声でわざとらしく照れてみせた。

無性にどつきたくなる仕草だ。


ルルフェルが死んだ目で見つめたら、ヴァンドラは朗らかに笑い、「ってか敬語じゃなくていいのに」と頬を膨らませながら言ったので、ルルフェルはこの男に敬語を使うのをやめた。


それにヴァンドラによれば、年齢が違えど明らかな上下関係がない限り平民同士で敬語はあまり使わないらしく、誰にでも敬語を使うと目立ってしまうらしい。


「下に見られちゃうと危険だよ」

そう言われたら納得するしかなく、ルルフェルは今度から気をつけることにした。


――――――


ヴァンドラの向かっている部屋はギルドの最上階である5階にあるという。

エレベーターなどは無いので、ルルフェルたちは階段で上を目指した。

4階までは比較的大きく、開放的な階段を。

そして4階からは、少し廊下を歩いた先にちょこんと存在する狭い階段を登り、5階に着くと、とても短い廊下の先にドアが1つだけある。

そのドアを開けると、ココラスのギルド支部長の部屋だった。

ドアが開けられると同時に、敏感なルルフェルの鼻はムンワリとした、動物園の爬虫類館のような……特徴的な臭いに血肉の臭いが混ざっている香りを嗅ぎ取る。


支部長の部屋は個人の部屋にしては広々としていて大きく、内装も立派で、廊下側の壁以外の3方向に横長の大きな掃き出し窓が付いていた。

廊下側の壁も、外に接している部分に窓がある。非常に開放的だ。


室内には支部長用の執務机(上にちょこんと、ギルド ココラス支部長と書かれたネームプレートが置いてある)と、その目の前に大きめのローテーブルと、その周りにソファがある。

本などは殆ど置かれていない代わりに、巨大な冷蔵庫のようなものが廊下側の壁に置いてあった。


ルルフェルはきょろりと窓から景色を見渡してみる。

先程より少し暗くなって、大分夜に近づいていたが、ルルフェルの目は問題なく辺りを見渡せた。

ギルドの4階までとは異なり、5階は大半が緑生い茂る屋上で、大通り側の縁の真ん中にぽつんと、この部屋は建っているようだ。


「各支部の屋上部分の大まかな造りは統一してあるんだ。開放感があって最高でしょ?」

ヴァンドラはそう言いながら執務机の隣まで足を進めると、ルルフェル達の方に振り返った。

「飲み物は水?コーヒー?」

「じゃあコーヒーで」

(コーヒーがある!やった〜!)と内心大喜びしながら、ルルフェルはヴァンドラの問いに即答した。

だが紺くんは恐らく自分の分は、はなから無いと思っているのだろう。反応しなかったので、ルルフェルが慌てて付け足す。


「あと水を」

「了解」

ヴァンドラはソファにルルフェルと紺くんを座らせると、執務机の側の壁に沢山設置してある紐のうちの1本をクイクイと何度か引っ張った。

使用人か誰かを呼んだのだろう。


「で、ここに君たちを呼んだ理由はね」

ヴァンドラはルルフェルたちの向かいのソファに腰を下ろすと口を開いた。

「いくつかあるんだけど、まずは確認……ルルフェル」

ルルフェルはヴァンドラと目を合わせた。

「君は昨日魔の森で男性を助け、今着用している服をもらい、ココラスまで送り届けた。それは間違いない?」


「助けた……かはわからないが、まあ大体合ってる」

頷くと、ヴァンドラはふっと真顔になり、数秒ルルフェルを見つめた。

「……ということは、やはり君が、神獣フェンリル」

「そうだな。ほら」


今更隠しても無駄だろうと考えたルルフェルは素直に頷き、席を立つと、狼の姿に戻る。

魔法により、ある程度までなら自分の身体の大きさをコントロールできる。

その為、ギルド支部長の部屋に収まるが、信用を得るためにそれなりに迫力のある大きさの狼になった。

結果、部屋の約半分くらいの大きさの狼がいきなりヴァンドラの目の前に現れる。


「…………!」

「本来はもっと大きいんだけどな」

「……はは、もっと大きいんだ」

ルルフェルが狭苦しそうに、首を数度プルプルと振るわせると、驚きに固まっていたヴァンドラが引き攣った笑みを浮かべた。


「これくらいにもなれる」

「え!?」

次にポン、とルルフェルが普通の大型犬くらいのサイズまで縮んでみせたら、驚きの声は隣から上がった。紺くんだ。

「そういえば言ってなかったか」


紺くんの方を見ると、何故か顔面蒼白で、両手を幽霊のように前に出し、プルプルと小刻みに震えている。

「え?なに?」

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