18. ギルド 2
「ではご年齢は?」
「24」
「出身地は?」
「魔の森の村」
タニアの質問に、フェンリルは淀みなく答えていく。
大体が出鱈目の為、自分の答えをしっかり記憶することも忘れない。
「職業スキルは?」
「……魔術師です」
フェンリルはニコリと微笑みながら答えた。
フェンリルは魔獣の為、職業スキルは持っていない。
職業スキルをもらえるのは人族のみだ。
人以外の魔物などの種族は、職業スキルが得られない代わりに、魔力を使える状態で生まれてくる。
フェンリルは癖でよく魔法を使ってしまうので、偽るなら魔法系の無難な職業スキルがいいと思っての返答だった。
小説にも魔術師という職業は出てきていたし、あると知っているのも大きかった。
「ありがとうございました。質問は以上になります。今カードを作りますので少々お待ちください」
タニアが書類をまとめ、ゴソゴソと分厚い木の板みたいなものの間に挟む。
すると板の間から青緑色の光が僅かに漏れ出て、消えた。
そして次にタニアがそれを開いたとき、そこには書類の代わりに1枚のチョコレート色のカードがあった。
(異世界すっげ〜!!!今の何!?なんかの魔法……なんだろ!?)
フェンリルは目を輝かせながら、タニアからそのカードを受け取る。
「こちらがギルドの会員証です。紛失すると、再発行に銅貨5枚かかるのでお気をつけください」
「ありがとうございます」
説明を終えると、タニアがにっこり笑いながら紺くんの方を見て、手を軽く振りながら聞く。
「ええと、そちらの方はどうされますか?かわいいね」
紺くんは赤くなってふるふる首を振った。
(いいな〜子供は、お姉さんから沢山サービスされるもんな〜受けとけ受けとけ〜)
ルルフェルは紺くんの方を見ながらニヤリと、からかうように笑った。
「また今度にします」
「かしこまりました」
タニアは軽く一度お辞儀をすると、今度はカウンターの上にトレイを置いた。
「では改めまして、ルルフェル様。換金するお品物をどうぞ」
「あっ……と」
フェンリル……今はルルフェル、はトレイを見て固まった。
「申し訳ありません。換金したいのは魔物でして……大きいし数もあるので、できれば場所を移していただきたいのですが」
あら、とタニアが眉をあげた。
「かしこまりました。では少々お待ちください」
そのまま2人は一度待ち合い席に座らされ、しばらく待つこと数分。
「魔物の換金に来たんだって?」
2人は短髪の大柄の筋肉質な男に声をかけられた。
黒いぴっちりとしたタンクトップに、白く長いエプロンをつけている。
その後ろにはタニアが控えており、ルルフェルたちにペコリとお辞儀をし、紺くんに軽く手を振ると、「では私はこれで」とカウンターへ戻っていく。
ルルフェルたちが席を立つと、男はクイッと親指を横にさした。
「俺はブッチャート、よろしくな。魔物の解体と換金はこっちで受け付けてんだ。魔物はアイテムボックスの中か?よし、ついてこい」
――――――
ブッチャートに案内された解体場はそれなりの広さを誇っていた。
きっと大きい魔物とかも多いからだろう。
室内には真ん中に大きな台が数台並んでいる。
そして壁一面に瓶詰めにされた臓器だろうか?赤黒い何かから、白い何かまでが所狭しと詰められた巨大な棚があり、その横には様々な大きさの、これまた色んな形状の肉切り包丁が置かれている。
そして目を凝らせば、室内の至る所に浅黒い血痕のあとがある。
ただ臭いは思ったよりキツくなく、台や道具などは綺麗なことから、きっとこれらは拭く前に染み付いてしまった物なのだろうな、とルルフェルは思った。
それでも、まだ10歳で人間の紺くんには少し刺激が強かったみたいだ。
「ゎぁ……」と、そっとルルフェルとの距離を縮めた。
「で、換金したい魔物はどいつだ?」
ブッチャートは台の1つに寄っかかると、ルルフェルたちの方を見た。
「今出しますね……ちょっと多いんですけど……」
ルルフェルはアイテムボックスを開くと、ドサドサと再び魔物の身体を積み上げていく。
「んなっ!?ちょっとだと!!?」
ブッチャートが寄っかかっていた台から飛び起き、ルルフェルの出した魔物の山の周りをぐるぐるまわりはじめた。




