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神獣フェンリルはテイムされたくありませんっ!〜けど俺をテイムするはずの主人公に義務教育が足りてなさすぎるのでまずは教育しようと思います〜  作者: 咲田陽
第1章 魔の森

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★番外編 紺くんと愉快な仲間たち

こちらは本編とは関係ない番外編です。

【フェンリル視点】


紺くんが旅の準備を終えて、俺と合流したすぐあとのことだ。


「んあ?」

俺はその壮観で異様な光景に、思わず間抜けな声を出してしまった。


それは、村の出口のすぐ側の森に広がっていた。


俺と紺くんが村を出ると、目の前に沢山の魔物達が待ち構えていたのだ。


俺がパッと見ただけで、ホーンラビットやファイアーフォックスが沢山。ワイルドボアに、グリズリーベアまで何頭か見えた。

更に魔物達の背後の木にはリザード系の魔物に、小型のタランチュラまで控えている。


神獣である俺の近く。しかも1箇所にここまで沢山の種類の魔物が勢揃いしているだけでも驚きなのに、更に異様に思えるのは、彼らがお互いに、そしてこちらにも、一切敵意を持っていない様子であることだった。


「なんじゃこりゃ……」

俺が呆気に取られていると、紺くんが目に涙を溜めながら、顔をくしゃくしゃにして魔物達へ駆けて行く。


「みんな!」

俺が口をポカンと開けて見守る中、紺くんと魔物たちはもみくちゃになって抱擁を始めた。


「すごい……今まで1匹ずつこっそり会いにきてたのに!」

どうしたの?と笑う紺くんを見て、俺はピーンときた。


(これ……あれか!紺くんにマッサージされた面々か!)

別に嘘を疑っていた訳ではないが、実際に目にすると、マジで存在したんだ〜という気持ちが強い。


というかメンツが想像してた10倍は多い。そして蜘蛛とかもいけるのね、紺くん……と少し引いた。


(将来すごいテイマーになる奴の潜在能力、怖すぎやしないか?)


観察するに、ただただおしくらまんじゅうのように、様々な魔物達から押し潰されているだけに見えても、紺くんの両手は、ピンポイントでそれぞれの魔物たちの“気持ちいいポイント”をついているようだった。


哺乳類系の魔物たちは喉を恥ずかしげもなく鳴らし、その身体をくねらせて紺くんに擦り付けている。

トカゲたちも目をうっとり閉じているし、タランチュラはそのお尻を揉まれ、嬉しそうにフリフリ動かしている。


なんだか俺は白雪姫の見てはいけない場面を見てしまったような、ちょっと目を背けたいような、気まずく、むず痒い気持ちになって目を逸らした。


まさか俺もマッサージされたときあんな情け無い姿を晒したりしてないよな?

きっと耐えられてたはず…………

そうだと信じたい。


「ええと、紺くん、適度にね……」

これいつまで続くんだろう、と思いながら地面を眺めていたら、俺の視界に1匹のキツネが入ってきた。


やや大柄のそのファイアーフォックスは、紺くんにマッサージされ終わり満足して出てきたのだろう。

気持ち良さそうに伸びをすると、口を大きく開けてあくびをした。

俺はなんとなくその様子をじっと見守る。


と、そのファイアーフォックスがこちらを向いた。

一瞬ビクッとするが、俺に敵意がないのが分かるのだろう。逃げることなくじっとしている。

と思いきや………………明らかに哀れみの目で俺を見つめてきた!


「はあ?」

俺が牙を出すと、ファイアーフォックスはビュッと目にも止まらぬ速さで森の中へ消えていった。


(なんなんだよ……)

そう思い、ふと目線を上げると、紺くんとその他諸々の魔物達も動くのをやめてこちらに目を向けていた。


「ん」

そして俺の目が紺くんの目と合うと同時に、ブワリと様々な方向に、魔物が散っていく。


「またね!」

彼らに向かって、紺くんが軽く手を振った。


色んな種類の魔物達が放射線を描き走っていく様は中々に見どころがあった。

(ただ、俺は別に脅かすつもりはなかったんだけど……)


俺が唇をとんがらせると、解放された紺くんが小走りでこちらへ駆け寄ってきた。


「すみません、お時間を……」

「いや、別にいいよ」

俺は紺くんを背中に乗せてやる。


「お別れできた?」

「はい!フェンリル様、ありがとうございました」


俺は紺くんの笑顔がスッキリしたものになっていることを確認し、街へ向けて歩き出した。

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