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神獣フェンリルはテイムされたくありませんっ!〜けど俺をテイムするはずの主人公に義務教育が足りてなさすぎるのでまずは教育しようと思います〜  作者: 咲田陽
第1章 魔の森

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14.さあ出発だ

「あ!っていうか、これから、ど、どうしよう」

紺くんが弾かれたように小さく飛び上がると、文字通り頭を抱えた。

「もうこの村にいれないしなあ……」


「あっはっはっは!」

フェンリルが大きな声で笑った。


「ねえ、それなんだけどさ、一緒にのんびり旅にでも出ないか?」

「え?」

紺くんがフェンリルの方に顔を向けた。

その大きな瞳が、不安を宿しつつも、隠しきれない希望と期待に煌めいている。


「俺、あの洞窟はもう出ようと思ってるんだ。出て、もっと世界を見てみたいなって考えてる。」

フェンリルはにこりと紺くんに笑いかけた。


「でも、俺は森に引きこもり歴数100年のしがない狼だ……。知らない人間の街に突撃するには……1人で心細くってなあ……」

フェンリルはわざとらしく、へにょりとして紺くんを見つめる。


「だから……一緒に来てくれると、嬉しいんだけどな?」

「行きます!!!」

紺くんが飛び上がる勢いでお返事してくれた。


「ぜひお供させてください!!!」


「っくくく」

フェンリルは嬉しくて尻尾を振ろうとして……今自分が人間の姿なのを思い出した。


「じゃ決まりな。なら家から持ってきたいものとか、旅に必要なもの持っといで。俺はここで待ってるから」

「分かりました!」

ピュン、と紺くんが小屋の間をかけていく。


「……さて」

紺くんが走り去るのを見送ったフェンリルは、倒れている村長の方に向き直った。


虚な目をした老人は、小声でぶつくさ何かを呟いている。


「なになに?」

フェンリルが耳を澄ませると……


「何故……何故……何故じゃ……儂は……愛しのリリィと結ばれたかっただけなのに……。リリィが妹だからダメなどと止めた奴らの方がが間違っているに決まっているのに……。リリィだって儂を愛していた!我らが血こそが至高の……、……」


「げえ」

途中からフェンリルはきくのをやめた。


「ふん変態ジジイが。てめえの性癖で村1個滅ぼしかけんじゃねえ」

フェンリルはそっと、村長のある部位に狙いを定めると、そこに踵と振り下ろした。


「グッ」

グチャリと肉が潰れる嫌な音がして、村長は小さく呻くと、今度こそがっくりと、完全に意識を手放した。


(これで血に執着する気持ちが多少なりとも薄れるだろ……)


ついでに村を見渡して考える。


「いや、やっぱ村ごとやり直ししてもらうってことで!」

フェンリルは自らの上に魔力を集め、凝縮させると、それを放射線状に放つ。


バサリと。全ての家の屋根と、村を囲う柵が細切れになって消え去った。


「これで出てってくれるでしょ」


は〜あとため息をつき、フェンリルは紺くんを待ち遠しく思った。


――――――


「大変お待たせしました!」

10分後くらいだろうか。

そんなに時間が経たないうちに、顔を興奮で熱らせた紺くんが駆け足でフェンリルの元へ帰ってきた。


「フェンリルさまむ、村を……」

「ここ出てってもらおうと思ってね〜結局1箇所に固まってたままじゃ、また同じことの繰り返しだし」


フェンリルが言うと、紺くんは「な、なるほど……!」と尊敬の眼差しでフェンリルを見た。


「というか、村の人たちにはとんでもなく手加減されてたんですね……!?」

「ほんとはもっと規制かかるくらいにしたかったけどね」


フェンリルがべ、と舌を出すと、紺くんは「きせい……?」と首を傾げた。


「なんでもない。っていうか、あれ?もう準備終わったの?早いね」

「そもそもそんなに持ち物がないので……」

そう言う紺くんは確かに身軽だ。

持ち物といえば、小さな肩掛け鞄のみである。

服装も、先程と同じぼろい布切れだ。


フェンリルは眉根を寄せた。

紺くんはアイテムボックスを持っていないので、本当に荷物はその鞄だけということになる。

ちなみに何故アイテムボックスを持っていないと知っているかというと、紺くん本人に聞いたからだ。


それは洞窟内で2人でお肉を食べていた時まで遡る。

色々話すうちに、大量の肉を収められるほど巨大なフェンリルのアイテムボックスはすごいという話になったのだ。


フェンリルにとって魔力は生まれながら使えたものだったし、他の魔物たちも普通に使っていたので、特別感などは感じていなかった。


しかし、人間は違うらしい。

人は15歳になって職業スキルをもらう際、魔術師やその他魔力関連のスキルを得ることによって、初めて魔力を体内で生成できるようになるというのだ。

そして当然、魔力に関係のない職業スキルの人は、そのまま一生魔力は使えない。


「はあ〜不便なんだなあ」

人間にちょっと同情しつつ、(テイマー魔力生えるのかな?)と考える。

小説では、自分のか、それともテイムした神獣から借りているのかは記載されていなかったが、確か紺くんは魔法で攻撃を繰り出していたはずだ。


「僕も、15歳になったら魔力使えるようになるといいなぁ」

と呟いた紺くんの独り言に、フェンリルは(使えるよ……なんかしら魔獣をテイムしたら、きっとね)と脳内で返事をした。


とまあ、長くなったが、紺くんはアイテムボックス未所持だ。

持ち物は見えるものだけ。


フェンリルは腕を組みながら、紺くんを上から下まで値踏みするようにじっくり見て言った。


「うん、まずは紺くんのお洋服から買おうね!」

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