表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神獣フェンリルはテイムされたくありませんっ!〜けど俺をテイムするはずの主人公に義務教育が足りてなさすぎるのでまずは教育しようと思います〜  作者: 咲田陽
第1章 魔の森

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/34

12.乱闘じゃぁあ!

フェンリルの拳がトトルの額に炸裂した。

「うぎゃあああ!」

トトルは今度は地面にめり込んだ。


フェンリルはガクガク痙攣しながら白目を向いているトトルの髪を鷲掴みにすると、村長の隣にドサリ放った。

そして自身も小屋から出てくる。


村人たちは逃げも隠れもすることができず、ただただ蒼白な顔でフェンリルたちを見守っていた。


フェンリルはぐるりと周りを見渡し、不気味なくらい爽やかな笑顔を作ると、口を開いた。


「じゃ今から名前を呼んだやつは、前に出てきて欲しい。紺くんに実際に手を出して、虐めに加担したやつの名前だ」

まるで担任の先生が自分の生徒に声をかけるように朗らかにフェンリルは言った。


だが一部の村人たちは目に見えてわかるほどガクガクと震え始め、何人かはガバリと地面に伏して謝り始める。

フェンリルはそれを見て、(この世界にも土下座っぽいのあるんだなあ)とのんびり思っていた。

もちろん今更の謝罪で許す気はないし、そもそも謝る相手を間違えている。


「呼んでいくぞ。まずはヨ……「何をしている!」」


フェンリルの言葉を遮るように叫んだのは村長だった。

杖をフェンリルの方に突き出し、ワナワナと震えている。

「見ろ!神獣フェンリルは今は人の形をしている!一斉にかかるのじゃ!奴が人型なら勝機は我らにある!」


村長の言葉に鼓舞された村人らが小さく声を出し始める。

やがて相乗効果で大きくなった「おおおおお!」という雄叫びは村全体を震わせるまでに膨れ上がった。


「かかれぇっ!」

村長が叫ぶと同時に、村人たちが一斉に襲いかかってくる。


フェンリルはニヤリと笑った。


(よくやった村長!)

かかってきた者全員を倒せる、乱闘にもちこむ。

それこそがフェンリルの密かな狙いであった。

むしろそうなってもらわないと、人型になったり、“わざわざ威圧の威力を弱めていた”意味がなくなってしまう。


(謝罪だけで許せるわけないんだよなぁ!?)

幸いなことに、もし謝罪がなかった場合、その後の対応をどうするかについては、紺くんと話し合っていなかった。

その為、フェンリルは遠慮なく襲い来る村人たちを叩きのめしていく。


それに彼らの中には素手ではなく、武器まで持ち出してきている者もいる。

どうせやらなければやられる。


流石、魔の森に住まう者たちだ。男は筋骨隆々、女はしなやかで、両者等しく強いし早い。

きっとこの危険地帯で生き抜いてきているという自負も、フェンリル相手に立ち向かえる根性の一因なのだろう。


もちろんフェンリルには遠く及ばないが。


フェンリルは目の前の男が繰り出した蹴りを、片手で受け止めた。

そして追撃しようと浮かされたもう片方の足が攻撃に転じる前に、男を身体ごと勢いよく振り回す。

フェンリルの周りにいた数人が男とぶつかり吹っ飛んでいく。


「はあぁああ!」

叫びながら槍を持って突っ込んでくる女をひょいと避け、上から手刀を落とす。

飛んでくる弓矢はバリアを張るまでもなく、素手で掴み、丁寧に射手どもに勢いよく投げ返してやった。


途中魔術による攻撃も飛んでくるが、村のど真ん中なので、思うように力を出せていないみたいだ。

フェンリルが飛んできた、威力の弱い火球を軽く手を振って掻き消す。

ここまででフェンリルは1歩も歩いていない。


と、その足元が揺れた。


「お、土属性か!」

フェンリルの周りを囲うように、ヌリカベのような四角い壁が地面からゴッと勢いよく盛り上がってきたと思ったら、今度はそれらの壁が押し潰そうと迫ってくる。


出口は頭上の穴しか無いが……


「ぬるい!」

フェンリルが手を勢いよくあげると、土の壁がぼろぼろに崩れ落ちて消し飛ぶ。


「魔力の練り込みが甘い!」

ビシリと術者のことを指さすと、フェンリルは足元にトランポリンのような役割をする弾性を持つバリアを展開させる。

そのまま身軽に、素早く術者の元へギュンと近づく。

「ま、「遅い」」

あとは拳を術者たちに叩き込むだけである。



しばらくするとフェンリルの周りに立っている人が少なくなってきた。

戦えない者……一部の女や子供、老人は既に逃げた後だ。

また我先に逃げようとした虐め実行犯たちは、フェンリルに捕まえられて一撃お見舞いされ、気絶させられている。


とうとう残すところあと2人になった。

その残りのうちの1人……最初に叫んだ、大柄で間抜けそうな顔をした男だった、が雄叫びをあげながら突っ込んでくる。

「お前格闘家か?」

フェンリルと男は、目にも止まらぬ高速で攻撃を繰り出し合う。


数秒はお互いの顔を見ながら戦っていたが、フェンリルが回し蹴りを繰り出すと、男はイナバウアーのような状態でそれを避けようとした。

だから、フェンリルは脚と腹にグッと力を込めて、回し蹴りを男の上でビタッと止めると、そのまま思い切り踏みつけてやる。

男は「ゲハッ!」と白目を向いて気絶した。

(こいつは紺くん虐め実行犯なのでヨシ!)


男が最後に勢いよく吐き出した血と唾液が混ざった液体が、空中に天高く飛び散る。

太陽の光を受けてキラキラと光るその汚い雫の向こうに、1人震える村長がいた。

フェンリルは村長を目線で射抜き、先程の数倍の威圧を浴びせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ