神獣フェンリル・終了のお知らせ
よろしくお願いします!
(やっちまった〜〜〜!!!)
その瞬間、神獣フェンリルは脳内で盛大に後悔した。
フェンリルの巣穴にのこのこやってきた人間の子供を食べた。いや正確には食べようとした。
ただそれだけだったのに!
(この子すんんんっごい不味いし、その拍子に前世思い出すとは思わないだろがーーーーっ!!!)
ほんの少し前。
ぱくりといくまで、自分は威厳たっぷり、そこにいるだけであらゆる生物を震えあがらせる、伝説の神獣だったのだ。
それなのに。
危機感ゼロ!飛んで火に入る夏の虫!私を食べてくださいとばかりにやってきた少年に腹が立ち、食べようとしたら、不味すぎて前世を思い出した。
ついでにここが前世で読んだ小説の世界だということも。
そんなことある!?
(なにが最悪って、その小説が『神獣フェンリル?俺の下僕ですが何か?〜テイマースキル星5の俺は最強でした〜』ってタイトルなんだよな〜!?)
フェンリルは心の中で血涙を流した。
(原作の俺氏、主人公に酷い仕打ちをした結果、テイムされてペット以下になってる件について(笑)(笑っている場合ではない))
このままいくと、フェンリルは自由意思を剥奪され、少年の下に敷かれる動く座布団にされ、腐った餌を出され、他の神獣の友人たちをテイムするためのダシにされ、最終的に魔王にぶち当てられて犬死させられた上で主人公のマントの1部になる。
全ては少年に怨まれるようなことを、フェンリルがしてしまったから。
ちらりと、フェンリルは吐き出された涎まみれの姿のまま、呆然としている可愛らしい少年(主人公)を見た。
(もう完全に酷い仕打ち後ですわ〜!!!詰みッ!)
(今から土下座したらなんとかなったりしない?
しないかあ……)
フェンリルは目を瞑って、意識が遠のくのを感じた。
(神獣フェンリル・終了のお知らせ――――――…………)




