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君の心を盗むまで  作者: ムポゥ神父
6/28

5話 全部、壊れてもいい

次の日、直人は生徒会室を訪れた。


真栗は、いつも通りだった。

書類を整理しながら、にこやかに話しかけてくる。


「白川くん、今日もお疲れ様。ねえ、昨日の話、考えてくれた?」


「……考えました」


——薬絵真栗を告発する。


それが一晩考えて到達した結論。不器用な直人は、自分の信条に逆らって生き続けることなどできなかった。


「——っ」


それを告げようとして、息が詰まる。寂しそうに笑う彼女の袖の隙間から、傷の跡が覗かせた。


「——協力、します」


世界がまた一つ、歪んだ気がした。



◇◇◇


「これ、使って」


放課後の図書室裏。

人通りもなく、薄暗いその場所で、真栗は鍵束を差し出した。


「生徒会の備品倉庫の鍵。予備が職員室に無造作に置いてあってさ。——抜いといた」


「……これで何を」


「今夜、行こう。演劇部の倉庫。

 あそこ、美術用の機材とか衣装用のアクセサリーとか、けっこうな金額するものがあるんだって」


直人は無言で鍵を見つめた。


(本当に……やるのか。俺が……俺まで……)


「ねえ、怖い?」


真栗が一歩近づく。

制服の胸元から、さりげなく覗く鍵のネックレス。

それすらも彼女の支配の象徴のように思えた。


「……怖くない。やるよ、俺が決めたんだ」


その声は震えていたが、確かに彼の口から出た言葉だった。


「ふふっ。かわいい」


真栗は嬉しそうに笑い、そっと直人の手を取った。


「じゃあ、白川くん。今夜——私たち、共犯者になるんだよ」


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― 新着の感想 ―
何人も泥棒がおる学校とかこの世にあるん?いても1人じゃね
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