蛇足
「結局、なんであんなことをしようと思ったんですか?」
未だ燻っているものを胸に抱きながら、その理由を聞いた。直人の瓦解の、その理由をどうしても聞いておきたかった。
「言ったじゃない?真面目な君に、悪いことが好きな私を見て欲しかったからだって」
「そうなった、理由を聞いているんですよ。お姉ちゃんがどうとか、あれは嘘ですよね」
お姉ちゃんみたいになれと言われて劣等感に苛まれながら生きてきた——いつかそう彼女が言ったが、少し調べるだけで嘘だと分かった。そもそも彼女に姉などいなかった。何故もっとバレない嘘をつかなかったのか、それも聞きたいと思ったが、今じゃなくてもいいと思い直した。時間は、夢幻にあるのだから。
「なんですぐバレるような嘘をついたのか、って顔してるね」
本当、彼女には敵わない。濡羽色の瞳は、全てを見透かしていそうな不思議な魔力を持っている。
「バレて欲しかったんじゃないかな、多分。」
その言葉の意味を少し考えた。きっと、彼女は——。
「さっ!話はこれで終わり。そろそろワルいことでもしよっか」
「まだ最初の質問に答えてもらってませんよ」
「……内緒」
——人差し指を立ててあざとい笑みを浮かべる真栗に、僕は一生涯勝てないのだろう。




