28/29
最終話 世界の果てで君といることができたなら
遠くの駅のホーム。
まだ薄暗い早朝の空気に、少しずつ朝日が差し込んでいた。
直人と真栗は、手を繋ぎながら改札を抜ける。
長い逃避行の果て、ようやくたどり着いた場所だった。
「ここで、新しい生活を始めよう」
直人が微笑む。
「うん。過去はもう、背負わない」
真栗も穏やかに頷いた。
二人の背後には、もう追う者の影はない。
新しい名前をもらい、新しい町で、静かな暮らしが待っている。
たとえどんなに暗い夜でも、光は必ず訪れる。
二人はそれを知っていた。
「これからは、一緒に歩いていこう」
直人が言う。
「ずっと」
真栗も小さく答えた。
そして二人は、未来へと歩き出した。
過去の罪も、痛みも、すべて受け入れながら。
でも今はただ、希望だけを胸に抱いて。
——それが、彼らの新しい物語の始まりだった。




