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24話 自由
夜の校舎は、いつもより重く静かだった。
誰もいない廊下を二人は急ぎ足で進む。
「直人、あの部屋だよ……生徒会会計室」
真栗が低く囁く。
扉の前で一瞬立ち止まり、二人は深呼吸した。
「これが最後の盗みだ。逃げるための、決定的な一歩」
直人が小さく頷く。
真栗は懐から細長い道具を取り出し、鍵穴に差し込む。
数秒後、カチャリと扉が開いた。
中は薄暗く、机の上には封筒や書類が散らばっている。
金庫の位置を確認し、二人は息を殺して近づいた。
「ここに理事長の裏金がある。全部奪う」
直人は懐から懐中電灯を取り出し、金庫の番号を入力する。
数字が合い、扉がゆっくり開く。
中には分厚い現金の束が重なっていた。
「これで……自由になれる」
真栗が慎重に札をまとめる。
直人も手伝いながら、緊張の中に一瞬の安堵を感じた。
だが、その時、廊下から重い足音が響いた。
「動くな!お前たちを逮捕する!」
背後から教師の声。
振り返ると、橘と佐倉凛花、そして数人の職員が立っていた。




