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21話 罪の逃避行
人気のない公園にバイクを捨て、息を整えながら、真栗は呟く。
「……やっぱり、時間切れだったね。
もう、戻れない。きっと、どこまでも追われる」
直人は、改めて問いかけた。
「なあ真栗。……これからどうするんだ。どこに行く気だ?」
「……逃げる。けどその前に、盗る。」
「え?」
「私たちが必要なものは、“金”。もう時間も、余裕もない。
このままじゃ、ただの未成年逃走犯で終わる。
でも金があれば、“生きる逃亡者”になれる」
そして、静かに付け加えた。
「生徒会の“予備口座”、まだ残ってる。
理事長の裏金——会計室の金庫に隠されてる、“外部寄付金”の一部。
あれ、盗もう」
直人は、静かに目を閉じた。
「……つまり。ここからが、本当の“共犯”だな」
真栗は頷いた。
すべてを失った代わりに、ようやく2人は同じ場所に立った。
その夜。
2人は、最後の盗みの準備を始めた。




