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16話 裏切り
彼女は立ち上がり、まっすぐに直人を見た。
「じゃあ決めよう。明日の夜、0時ちょうど。
西門の外に、二人分のカバンと金と、地図と、名前の書いてない身分証がある」
「そこから逃げる?」
「ううん、“そこに来なかった方”が、“告発者”だったってことにしよう」
「……え?」
「どっちかが、まだ正義に未練があるなら、来ないよね。
来なかったら——裏切り。来たら……それが“本当の共犯”」
月の光が、2人の影を重ねた。
「ね、白川くん」
「本当に“正義”を捨てられるのか、見せてよ。明日、そこに来て」
直人は、ただ黙って頷いた。
その夜、眠れなかった。
ベッドの中で目を閉じても、真栗の言葉だけが何度も繰り返されていた。
「——来なかったら、裏切り」
(俺は……どっちなんだ?)




