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10話 疑念
「白川。……ちょっと、時間あるか?」
昼休み、教室の扉を叩いたのは、風紀委員副委員長・江口誠悟だった。
背が高く、無駄に目が鋭い男。口数は少ないが、鋭さと信念を持っていると評判の生徒だった。
「……なにか、ありましたか?」
「例の盗難事件。動きがある。被害が出てない日と、出てる日の“共通点”を洗ってる」
直人の胸が、微かにざわつく。
(ヤバい。こいつ……本気で調べ始めてる)
「協力してくれ。白川、お前は生真面目で通ってる。俺も信用してる。
こういうの、見逃したくないだろ?」
その言葉に、直人の心臓が一瞬跳ねた。
「信用してる」という言葉が、まるで皮肉のように刺さる。
(お前が思ってるほど、俺は正しくない)
「……わかりました。できる範囲で、協力します」
そう答えながら、胸の奥で罪悪感が膨らんでいく。




