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修理屋  作者: 仙 岳美
1/1

修理屋

25.3.更新


登場人物


語り

 首里しゅり 直人なおと二十九歳


 

 傀儡 加衣(ぐぐつ かい )二十五歳


 

 私はある本業に挫折してしまい生活の繋ぎのため、ある意味で方向性は似たような仮業をしていた。

それは古い玩具の修理である。

依頼の修理品は、自宅兼作業場に送られて来たり、直接持ち込まれたりする。

そんなある日、インタホーンが鳴ったので、出た所、来客者は、近所のコンビニでよく見かける、私のタイプの女性で、少し良いな~と、思っていたりした想い人だった。


とは言え、相手から見たら私は赤の他人であり、まず間違いなくお客様であると思ったので、そんな下心は悟られない様に、澄まし顔で接客した。

「こんにちは、修理の、ご依頼ですか?」


「はい、お願いしたいんですが」


 と、その女性は、手首から下げている表面が黒いエナメル風な紙袋からある物を取り出した、それはレトロチックに作られた時計機能がメインのロボット時計だった。


「この時計の目覚ましの音が、私に合ってる見たいで、出来ればまだ使いたいと思いまして~ 1万円位までなら……」


「では分解して調べますので、またこちらからご連絡するという形で、よろしいですか?」


「はい、それでお願いします」


「では、連絡先をこちらへ」

とボールペンとメモ紙を渡したら。

その人は名前、電話番号、住所まで書いてくれていた。


「では、宜しくお願いしますね」と彼女はニコリとし帰って行った……。


その日は暇だったので、早速、外ネジを外し分解してみたところ、基盤のハンダが剥がれていた、だけだったので、ハンダゴテで、IC部品を付け直したら時計は案の定、簡単に動き出したが……もう一枚後付けと思われる小さいスピーカーが取り付けられた基板も中に仕込まれていた。

それは紛れも無く、世間で盗聴器と言われる、人の会話を密かに聞き盗む、卑劣な極まる、いかがわしい物だった……。

その盗聴機の電源は、ロボットに背に取り付けられたメイン電源でもある二本の乾電池と、補助には、このロボットの頭部に備え付けられた太陽ソーラーから得ていたと思われた。

雑な造りの、後から取り付けられた盗聴器の基盤の熱劣化具合から推測し取り付けられてから五.六年は月日が経過している様だった……。

その時、私しに依頼主の女性が好みだった事もあると思うが、横縞な考えが芽生えてしまった……

それは……

修理依頼だけだから……

そのままで良いかな~とか。

もしかしたら彼女が盗聴に使ってるかも知れないから、触れない方が無難かな~とか。

変な納得感をこじ付け、そのまま盗聴器を取り外さず彼女に渡してしまったのである。

……そうこれが、私の今も続く後悔の始まりだった……。


 その後日、私は修理依頼手が取りに来ない盗聴用受信機を一台持っていたので、それを用い彼女の住まいであるアパートの裏道に車を止め盗聴していた……。

⚡️

 受信機に聞こえてきた内容は想像より静かな生活で彼女はTVも見ないみたいだった。

しかしある日の週末の夜8:00頃に男の声が聞こえてきた……どうやらセックスをしている様だった、彼女のリアルな控えめな喘ぐ声が聞こてくる。

まぁ、男がいるのは普通だろうと思った、しかしその後、聞こえてきた会話の内容が私の人生を変えた……。

『あれ、この時計直ったの?』

『うん、タウンページで調べたら近くに玩具修理してる業者が居て時計だったけど、ダメ元で持っていったら直してくれたの』

『へー いくらかかったの?』

『6千円』

『高くね、新しいの買えば良かったじゃん』

『前の彼氏がくれたのよ、もうどうでもいいけど起きるの、この時計の音になれちゃってさ』

『直してくれた人は、おじいさん?』

『ううん、若い子、少し可愛かったかな、一回くらいヤッテもいいかな~ と思っちゃった、なんかイジメたくなる感じ』

『また~ 好きだね、ほれ!』

『あ! ちょっとイキナリはやめてよ、痛いから、もう』

  

(……)

……『じゃこれお金ね』と最後は金銭のやり取りをしている様だった……その後も週末午前1人午後1人深夜1人と違う男が出入りしている事が分かった……

これは売春だと思った……

その時に思った私も彼女を買いたい……


 しかしどういう経緯路で彼女の客に成るのかが解らない、その後も週末に彼女の家を盗聴しては彼女の喘ぎ声を機器で録音しながら聞き、ソロ行為にフケル生活をしていた……

そのうち我慢できず客が来てない時を見計らって彼女の家のインタホーンを押してしまった!

《ガッチャ》

ドアが空いた、

「あら、修理屋さん、どうされました?」

「あーと、その後、時計の調子はどうかと思いまして……なんかイキナリすみません」

彼女はニッコリとした!

「あーはいはい、大丈夫ですよ調子良いですよ」

私しは思わず言ってしまった!

「後、もう一つ、実はあの時計を修理した時はよく解らなかったのですが後で調べてみたら盗聴器らしき物が取り付けられていた様なのでお知らせした方が良いと思いまして、すみません、素人に毛が生えた様な物でして、気づくのが遅くなりまして……」

彼女は私の例えにクスッと笑い。

「あら、怖い、どうすれば良いのかしら?」

「単純に考えて、まずは外すのが良いと思いますけど、どうしますか?連絡が遅れた事もありますので無償でお引き受けしますが」

「助かります、今持ってきますね」

と彼女からロボット時計を預かり盗聴器を外して家が近い事もあり、電話を入れてから彼女の家に届けた、お礼に彼女から玄関で缶ビールが沢山入った袋を手渡された……この時、此処で彼女と縁が切れてしまうと思った事と盗聴で私しと『一回くらいヤッテも良い』と言ってた事を聞いてた事もあり、縁を繋ぐために思わず言ってしまった!

「宜しければ今度、飲みに行きませんか」

彼女は一瞬瞬きをしてニッコリした

「……良いわよ、修理屋さん良い人みたいだし」


 その後、飲みに行ったその日の夜、私も情報的に100%自信があったので押しまくったら簡単に彼女と男女の中に成れた、しかし良かったのは此処迄だった。


 さらにそのまた、その後、連絡すると今日は明日はダメとか会ってくれない日があった、まだポツポツと客は取ってるみたいだった……。


 だが私も彼女を盗聴してしまった人間であり、彼女の事をとやかく言える人間では無いと思う。また私は関係を続けるためにも黙って気づかないフリをしているしかなかった、唯それは段々とゆっくり深海に沈んで錆びてゆく機械の様に心を蝕む拷問の様に感じ、また修理できる当てもない無いのに彼女の背の裏蓋を外して中身を覗いてその複雑怪奇な作りに唖然としてしまった様な感じにも思えた……いや彼女は壊れてはいない、そういう作りなのだ。

彼女の仕様を私し好みに改造しなければいけないとも思ったが、その手の仕事で挫折した私には無理であろう……また下手に弄れば改造するどころか複雑な構造の彼女を反対に壊して修理不可能な精神患者にしてしまう事態を引き起こす可能性もありうる。

人間はロボットみたいに部品交換はできない、神経回路はロボットより複雑でまだ未知な所も多い……。

ロボット時計は今も彼女の枕元で歪んだ時を刻み続けている……。

そして私し自身の心は壊れてゆく、修理屋なのに何もできないまま……。【終】

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