90 C級冒険者らしく
「だだ!(お肉とお詫び状をセットで転移!)」
リンちゃん…という事は過去の自分の所業を反省しているのかな?
「うぉ!いきなり肉と手紙が来たぞ!臭いからすると奴だ‼」
「何々…『前はいきなり触ってしまってごめんなさい。今度は、ちゃんと断ってから触らせてもらいます。お肉は皆で食べてください』」
触るのが前提なのね。確かに、毛深い獣人さんたちはモフモフしているけれど!
でも、極上のお肉だから熊獣人さんたちは喜んでいいのか、また来るのかと不安との複雑な雰囲気を出している。
「だだだ!(キングペリュトンの培養肉だよ!)」
「喜んでもらえるんじゃないか?王侯貴族が食べるような肉だからな…」
門番さんたちの迷いを感じつつ、市街地に入っていく。
「まずは、宿を探すか。その後でオーラ国の冒険者ギルドに到着報告だな…」
「だ!(宿なら、私お勧めのところ紹介しようか?お値段は手ごろだよ!)」
「それは、C級冒険者が泊まれそうな宿か?安くて、安全なのか?」
「だだ!だっ!(費用は1泊で銀貨1枚!安全性なら結界張って私の家で寝ればいい!)」
「銀貨1枚か…。ギリギリだな…。個室があれば泊まってみるか」
リンちゃんのお勧め宿屋は、目抜き通りから見ると、2本横道に逸れていた。そして、こじんまりとしているため、知る人ぞ知るような宿屋だ。だが、宿の周辺は綺麗に清掃などがされており、治安も良さそうだ。宿の名前は「おだやか亭」というらしい。
「いらっしゃいませ~。おだやか亭にようこそ!今ならちょうど個室1部屋空いてますよ」
「お、丁度いいな。見ての通り子連れで3人なんだが、大丈夫か?」
「夜泣きした時は外に出ていただく事になりますが、それで良ければ大丈夫ですよ。素泊まりは銀貨1枚、朝食は1人分鉄貨3枚、夕食は鉄貨6枚。お湯は、桶1杯で銅貨1枚」
「素泊まりで、とりあえず2泊分頼む。あと、お湯は3杯分頼む」
「はーい。では、前金払いで銀貨6枚銅貨3枚になりますね」
ソレノドンさんが財布を出して世間話をしながら情報収集をしていく。それによると、この周辺は『ラクーン』という組織が仕切っているらしい。毎月、用心棒代を支払うことにより、様々なトラブルから守ってもらえているとのことだった。最近、衛兵の人数が減り、『ラクーン』により治安が守られているため、どの店も用心棒代を支払っている状態らしい。
案内された部屋2階にある部屋で、木の床に、白木の壁で落ち着ける部屋だった。部屋の窓を開けると隣の建物の壁しか見えなかった。ベッドが4台ありそれぞれのベッドに荷物が置けるように簡易なロッカーが付いている。
「まずは、定番の部屋チェックだな。当たり前だが、不審物や逃走経路の確認だ。リンが勧めてきた宿だから大丈夫だと思うが念のためにな」
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