84 仲間が加わった
プロジェクトメンバーには医療スタッフも今後必要になるだろうということで、アゲートさんが加わった。今回は、ゴルディオイデアと依存性の高い薬の事もあり、専門知識とケアができる人がいた方が良いと皆の意見が一致した結果だ。
「あ~、まずは医療フロアの隔離部屋で治療とゴルディオイデアの捕獲だな。アゲートさんとリン、頼む」
ギルド長から言われた2人は地下2階へと転移していった。どうして転移したかというと、国の重鎮の首根っこを引っ掴んでいるリンなんて、ヤバすぎるからである。あと、リンが連れて歩くのを面倒くさがったという…。
私達も地下2階へと到着すると、すでに浴槽が用意されていて、リンは部屋の外に待機していた。どうやら、医療スタッフではない、一応16歳女子という扱いで、男性のお尻は見ないで済むように配慮されたらしい。今はアゲートさんとクロが男性に付き添っているそうな。クロは男性が動かないように押さえているらしい。
「リンさ~ん、ゴルディオイデアが出ました!来てください‼」
「はいは~い!お任せあれ!」
リンがゴルディオイデアの瓶詰を完成させている間に、アゲートさんは最上位の治癒魔法の魔法陣を書き上げて、男性を治癒させた。この世界では、魔法陣で魔法を使う方が一般的である。魔法陣を使わないで、魔法を行使出来る人は一握りだ。
「ふぅ~、これでこの男性は一安心です。で、誰なんですか、この人?冒険者じゃないですよね。筋肉も貧弱だし、手も剣をあまり握っていないように見受けられます。おまけに、肌も綺麗だから、平民でも無さそう」
すごい観察眼だなぁ、身体的所見から色々と分かっちゃうんだ。
「多分知らない方が良い人!」
「あ…私は何もシリマセン」
リンがゴルディオイデアの瓶の中に、リンの魔力たっぷりの水を注ぐ。気のせいか、ゴルディオイデアの様子が変わったような気がする。
「ねぇねぇ、ゴルディオイデア、テイムを解除したら私と一緒の家で暮らさない?」
ゴルディオイデアに伝わるのか?と思ったら、フェリスが実体化した。
「『解除できるの?魔力たっぷりの水の中で暮らせる?仲間はいる?』だって」
「回答:全部ある!」
「『じゃあ、お願い~。この水、とぉっても気持ちいい』だって」
「解放!」
ゴルディオイデアの周りが淡く光ったかと思うと、急に動きが良くなった。グネグネ動いていて、どうやら喜んでいる様子である。
「私の解放は、相手の許可があればテイムも解除できるの!」
それって、反則技でしょう…こんなに色々できるリンなのに、どうして魔法陣の円が描けないのか不思議でならないわ。
「そういえばさ、カッパーさん。変なスイッチ?みたいなの作ってたでしょ?忘れ物」
「あらぁ?隠していたのに、見つけちゃったのぉ?まだ開発途中で、触られたら危険だから見つからないようにしていたのよぉ」
「じゃあ、戻しに…って、あ」
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