82 労働奉仕命令
「王弟殿下からの労働奉仕命令っていうのは、どういう内容だったの?」
「ん?そっちは楽勝。リンちゃんハウスに私が認めた冒険者を出入りさせる事、今後5年間は私の研究成果の情報共有を行う事と王弟殿下からのクエスト依頼は絶対強制参加する事だよ」
「なんだか、今までとあんまり変わりませんねぇ」
「王弟殿下こと俺がS級冒険者を支配下に置いたという事を周囲に認めさせる事が大事だったんだ。それでも、内容はかなり俺に有利だぞ?俺からのクエスト依頼は断れないんだから」
あぁ…普通は王族からのクエスト依頼って断れないんだけれど、リンは自由人だったから断っていたと聞く。王家から不興を買うこともあったんだけれど、王家からのクエスト依頼時期にSランク魔物の出現が重なり、魔物討伐をやるという大義名分があったから処罰されなかったんだよね。
「王族からの依頼って、結局手柄を横取りされることが多いんだよ。手柄横取りされると、こっちの生活も困るから、大体断ってたんだよね」
「まぁ、王族も箔付が必要だからな。総指揮を王族が行い、実働部隊に実力者を置く。で、褒められるのは王族。だが報酬はちゃんと冒険者達にも出ているはずだが?」
「私をなめてるんだよ。一応、16歳の女子だからさ、実力を信じられないとかで報酬が貰えないことがしばしば。だから、『王族最悪!』みたいになったの。あ、けどアンデッド系モンスター退治なら行ってる。倒せる人が少ないから、手柄を横取りされにくいの」
「この国の王族の話か?」
「そう、ギルド長のお兄さん?に当たるのかな」
「陛下はそんな横暴はしないから、次兄か?」
「おそらくだけどね。私、世情に疎いから。けど、多分あってる。さすがに国王の顔は知ってる」
「分かった…極秘調査をしておく。分かり次第、陛下には報告するが、リンの陳情書が必要だから、書いておけ」
「大丈夫、もうある。ざっと30枚ほど。次兄?が国王になるってなったときに出そうと思ってた」
「その時に出したところで、時効だろう…」
「え、違う違う!これを全国民分コピーして、集会の時に上空からばらまこうと思ってたの」
「「「この非常識‼絶対ダメ‼」」」
またもや皆の声が一致した瞬間だった。
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