80 暴走中
リンちゃんハウスを見つけられたんだから、そこそこ優秀なんだと思う。
『リンちゃんだよ~、ムカつく。すぐそっち行くわ』
リン、なんでこのタイミングでメールを送ってくるの?まるで、私達の様子を見ていたかのようなタイミングと内容なんだけれど。
パッと私達の前にリンが現れた。
「リンさん?どうして私達がここで見ている内容とかを把握しているんですか?」
「んなもん、傍受したら丸わかり。というか、そのリーダーをぶん殴りたいんだけど」
「そのリーダーは、リンちゃんハウスの地下で意識不明ですよね!分かっているでしょ!」
「意識回復後、ぶん殴りましょう」
「いや、彼もゴルディオイデアに寄生されていて、操られていたんだよ!殴るな!」
「丑の刻参りの要領で、黒幕にダメージ行くのに?」
言っていることが分からないが…。
「まずは!王家がどう対応していくのか方針が出てから!クロ、暴走したら拳骨!」
「にゃ!」
「ギルド長…連絡しやがれや…こちとら不法侵入されたんだよ…黒幕殺す!」
ゴン!ベチッ!
クロちゃんパンチが炸裂しました。
「だが!私は!許さない!寝不足の恨み、晴らさないでおくべきか!否!晴らす!」
頭に雪だるまを乗せたリンちゃんが吼えている…。
『ギルド長!まだ!?1分後に同じメール送るよ!?』
「リン、落ち着くでありんすよ~。魔力が駄々洩れで、討伐依頼が出そうな気配でありんす」
「はッ、すんません!グルグル~」
「はい、そこでフワ~、シュワ~」
「フワ~のシュワ~!」
良かった…この部屋以外の音が聞こえない状況だったけれど、徐々に喧騒が戻ってきた。
あ、恐る恐る様子を見にコーラルさんが来てくれた。何でもないよ~と言っても通じないだろうなぁ。
「危険度Sランク冒険者が暴走しかけたのを、ミエリンさんが止めてくれました」
これしかない。
「あ、1分。『ギルド長!まだ!?』っと」
『まだだ!待て!』
『1分後同じメール送ります』
『あと1時間は待て。これ以上1分間隔で送ってきたら、同じ数だけ拳骨!』
『わかりました、5分間隔ですね』
『12回拳骨すればいいんだな!』
『訂正、1時間間隔。ただ、1時間経ったら1分間隔に戻すけど』
『今、会議中だ!邪魔するとそれだけ遅くなるぞ!』
『なら、視覚共有してください。無理やりしますけど』
『極秘会議なのに、出来るわけがないだろう!ミエリンさん、頼む』
「お、見えた。ディスプレイに映そ」
「やめるでありんすよ!洒落にならないでありんす!」
ぶちっと音がしたと思うと、強制的に魔法が断ち切られた気配がする。S級冒険者2人係でリンの魔法を強制終了させたらしい。
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