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ギルド職員は忙しい  作者: 猫の子子猫
第1章 冒険者ギルド編

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77/150

77 寄生

3階に上がってみると、カラフルなドアが並んでいた。その中に、ドアの色はグレー、プレートの色は黒で、金色の文字で「クロの遊び場」と書いてある部屋がある。

覗いてみると、クロが玩具(人間の男性)を追い詰めて、軽く甘噛みして、逃がしてを繰り返して遊んでいた。玩具の方は必死だし、物理攻撃はできるから、クロを殴ったり蹴ったりして抵抗している。クロも魔力をほとんど吸い取らずに、長く遊ぶ方を選択したみたいだ。


「クロって魔力を吸い取らないことも出来るの?」

「今、訓練中!まだ接触すると少し吸い取っちゃうんだよね。この玩具、活きが良いから、訓練相手に良いね!」

「玩具兼訓練相手…大変だね」

「適当に回復させるから、平気」


クロの遊び場だからか、部屋の中はコルクのよう軟らかい素材で床が出来ている。所々に高さが3m~5m位あるキャットタワー(なのか?)がそびえていて、そこを繋ぐようにキャットウォークが設置されている。壁も軟らかい素材で出来ているようで、玩具にされている人が激突しても傷1つ負っていない。不思議なのは、部屋の隅に柵で囲われたスペースがあり、その中にはロッキングチェア2脚とテーブル、2m位のキャットウォークが置いてあった。どうやら、シチフクが私達も部屋でも寛げるように配慮してくれたみたいだ。


「クロ~、入るよ」

「うにゃぁん!」

クロが玩具にされている人を連れて、側に来た。玩具の人、私達を見て逃げるチャンスが出来たと思ったのか、隙を見定めようとしているようだ。

「お、まだまだ元気だね!もっと頑張ってもらわないと。回復!」

「にゃ~ん」

あ、引きずって戻っていった。どうやら、クロ的には活きが落ちてきていたらしい。南無。


「じゃ!空間転移!」

ロッキングチェアの隣に転移した。どうやら、クロの遊びに巻き込まれないようにリンが空間転移してくれたらしい。

「はい、お茶ね~」

「美味しい麦湯ね~。温かくて、ホッとする」

「はい、お菓子ね~」

「このビスケット、すごく美味しい!」

お茶をしている私達とクロ達との雰囲気が全く違うのは、気にしないことにした。


お茶をしながら様子を見ていたときだった。

「あれ?なんかアイツ、魔力の流れが変」

魔力の流れ?私には分からないけれど、リンには何かが見えたらしい。

「クロ~、その玩具ちょっと連れてきて」

ぽーい!クロ…放り投げてはいけないと思うんだけれど。


「ほい、拘束してっと」

じ~っと男の体を頭の先から足の先まで眺めていたかと思うと、お腹に手を当てだした。

「ん~?何かいる…ような気がする。クロ、この玩具を水…は冷たいから温いお湯に漬けてみよう。あ、呼吸はちゃんと確保してね」

そう言って収納魔法からバスタブを出して、魔法でお湯を入れる。すかさずクロが男をバスタブに放り込んだ。男がバタバタとしていたけれど、クロががっちりと抑え込んでしまう。


暫くすると、クロが突然男のズボンを引きちぎってしまった。お尻の辺りから、ニョロニョロとした何かが出てきた!かなり長くて細長い…自分で動いているから生物みたいだ。

「いたねぇ。レアなんだよね、これ」

「何?これ?」


「寄生系魔物のゴルディオイデアだね。テイムされているから、テイマーの命令を受けて、この男を操っていた。すっごくムカつく!」

そう言いつつ、大きな瓶を出して魔物を閉じ込めた。

「治癒!こいつに寄生されると消化器官は勿論だけど、脳にもダメージが出る。治癒魔法も万能じゃないから、どこまで回復できたか様子見だね」


ゴルディオイデアが出た男は気を失ってしまっていた。クロも玩具では無くなったと認識したらしい。

「とりあえず、地下に簡易的な治療場が必要。シチフク、暴れるかもしれない患者を入れられる設備がある治療部屋を作って」

そう言いながらリンは、ゴルディオイデアが入っている瓶を眺めている。

「テイマーに気取られないように生け捕りにしたから、ちょっと研究してみる。しばらく研究室に籠るね」


「えっと、この男はどうするの?」

「ん?部屋への移動はシチフクがやるから、見張りはリリーに任せる。起きたら、シチフクが私に教えるから大丈夫」

「部屋、できた。使い勝手、リリーが言って。修正するから。じゃ、行く」


へっ?と思う間もなく床が抜けたと思ったら、違う部屋にいた。

広さは25m四方位だろう。低い間仕切りで大まかに4ブロックに分かれている。

ざっと見たところ、座敷牢、拘束もできるベッドがある治療室、検査・調剤等が出来る部屋、スタッフルームと言ったところだ。


男は座敷牢の中にあるベッドに寝かされていた。まだ気を失っているようだし、座敷牢の様子はスタッフルームから見えるようになっているから安心だ。結構リンのこだわりが発揮されているようで、検査・調剤室は充実しているように見える。

「医療に詳しい人がいれば、もっと良いんだけれど。とりあえず、お茶していますか」

暇だからフェリスと一緒にお茶しながら、戯れて過ごした。

読んでいただき、ありがとうございました!

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