69 倹約?
「リンさん、この魔物たちって、肉食が多いですよね?どうやって餌を調達しているんですか?冒険者とか…人を食べさせているとか?」
「ないないない!けど、肉食というのは事実。どうしているかって?培養肉ですよ!」
「「「培養肉⁈って何」」」
「培養肉っていうのは、動物の細胞の一部を培養して、人工的に作られたお肉の事。魔物を大量にハントしなくて良いから、環境にも優しいんだよね。しかも、ちゃーんとお肉の成分だから、お腹を壊す心配もない。ただ、本来はお肉の食感を再現するのは難しいんだけど、そこは魔法の力を使って無事再現しましたー!」
「つまり、キングペリュトンの肉も人工的に作れるっていうことか?」
「そうだよ!というか、今作ってる」
「俺、ギルド長として、その情報を聞いてよかったんだろうか??」
あ、タイパンさんが苦悩している。そりゃそうだよね、キングペリュトンの肉が人工的に作れるってなったら、買取価格や販売価格も暴落しちゃう。キングペリュトン専門に狩りをしている冒険者達の生活は立ち行かなくなってしまう可能性だってある。
「リン、その培養肉は…リン配下の魔物だけにやってくれるか。ギルドで培養肉の買取や培養方法の情報は今のところ不可能だ」
「元々そのつもり。キングペリュトンのお肉って、魔力を多くためる細胞のつくりをしているから、それを体内に取り込むことで、魔物にどのように変化が起きるのかを観察しようと思ってさ。それに、作ろうとしたって、とてつもない手間と魔力が必要になるから、無理じゃない?」
「あの~、リンさん?魔物を魔改造しようとしているっていうことですか?リンちゃんハウスから脱走しないように、しっかり管理してくださいね!脱走したら、絶対Sランク魔物として討伐対象ですから!」
ここは、しっかりと釘を刺しておかないと。危険度Sランク冒険者なんだから‼
リンさんは、脱走はしないから大丈夫だよ!だって、リンちゃんハウスのお肉は美味しいからね、とのことだった。魔物の胃袋を掴んでいるらしい。
「リンさん、もうかなり遅い時間なので、泊めてもらっても良いですか?森の外にラーノさんが待機しているので、ラーノさんも一緒に。地下室に閉じ込められていると思われる人達の素性を確認するのは、明日っていうことでいかがでしょう?」
「オッケー!じゃあ、ご飯の支度してくる!」
「で、出来れば培養肉を食べてみたいです‼美味しいお肉を是非!」
「りょーかーい。じゃあ、奮発しますかね!あ、ついででラーノさん転移させとこ」
リンさんの後をついてキッチンに行く。キッチンには冷蔵庫とか食糧庫なんて無かったはずなのだが、どこに食料があるのか。
「テッテレー」
リンさんが、どこぞの青狸が言いそうなセリフを言うと空間からお肉が出てきた。
どうやら青狸のポケットのイメージで空間魔法を使っているらしい…。ポケットは四次元だから、時間まで制御できるってことかしら?
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