65 スライム美容室
クラゲ…確かノーマルスライムの小さい方だよね。コロコロと足元に転がってきたと思うと、尺取虫のような動きで伸びあがり、私の体を包んでいく。ソレノドンさんが言うように、痛くも無いけれど、全身を小さい口で齧られているような感覚がある。
「スライムは、基本的に捕食する時は最初に麻酔効果がある成分を獲物に注入。そして、体内で酸を生成して、獲物を溶かして捕食するんだ~。だから、スライムに襲われている獲物って暴れないの。スライムの種類によって、他にも成分を注入するんだよ~」
そうかぁ、だから痛くないんだね。で、今は酸を生成させていないんだよね⁈溶けていないよね⁈
クラゲが私から離れると、心なしかお肌がスベスベしている。美容効果が高いのか⁈
「特に体調などに変化はありません。むしろ、お肌がスベスベして調子が良くなった気がします」
「というわけで、ギルド長も!体格が良いから・・・エチゼン!」
にゅ~ん‼タイパンさんが半透明の膜に包まれた。
「うっ…‼」
タイパンさんがプルプルしている…と思ったら、あっという間にエチゼンがペッとタイパンさんから離れた。
「ん?どした?」
「綺麗すぎて、喰いでが無いって言っているにゃん~。タイパン、汚れがほとんど無いにゃ」
「そっか~。フェリス、ソヌス、こっちに来て~」
ソヌスも実体化させると、リンさんの側に2匹が近寄った。
あっという間に2匹をリンさんが捕まえたかと思ったらエチゼンの中へ、ぎゅむ!
「はい、エチゼン‼抜け毛とか食べていいよ~」
あまりの素早さに、私も2匹も目が点になった。
「もぐもぐもぐ…」
およそ5分位経ったところで、2匹は解放された。心なしか、スッキリとした表情と体形になっている。解放されたら、すぐにリンさんがフクロウ型に2匹を変化させてくれた。
「すっごく気持ちが良かったにゃん。濡れない分、シャンプーより好きにゃん」
「そうですね、私もこちらの方が好きです」
フェリスとソヌスが気に入ったんだったら、良かったね。
「おーい、俺、まだ終わっていないんだけど?」
「もっく、もっく」
あ、ソレノドンさん、まだアンドン・ハナガサ・ギンカに捕食されていた。
「にゃんか、汚れが酷いのと、無精ひげを調えているらしいにゃ」
更に待つこと10分、ようやくアンドン・ハナガサ・ギンカがソレノドンさんを解放した。
「おい、ソレノドン。すごく男っぷりが上がったぞ」
「本当に格好よくなりました‼ちょっと苦み走ったいい男。絶対にモテますよ‼」
「そ、そうか?おい、リンさん、また頼んでも良いか?」
「タイミングが合えば良いよ~。皆もね‼」
行ってみたい…スライム美容室。スライムのセンスにすべてお任せします!
読んでいただき、ありがとうございました。




