63 お宅拝見
「リン、まずは、ダンジョンコアっぽい物を見せてもらえるか?」
あ、タイパンさんが滅茶苦茶、頭が痛そうな顔をしている。隣では頭を抱えているソレノドンさんがいる。まずは、ダンジョンコアっぽい物を見せて貰って、リンさんにダンジョンマスターだっていうことを自覚させないと話が進まないっぽい。
「じゃあ、2階に案内するよ。そこが私の居住スペースだから」
リンさんの居住スペース…魔窟の間違いなのではないだろうか。
きっとそう思ったのは、私だけではないはずだ。だって、ソレノドンさんの顔が強張っているし、タイパンさんは両手を握って拳骨の準備している。
階段を上がって行くと、また引き戸があった。2階の引き戸には、ドアップのクロが大欠伸をしている写真のような絵があった。リンさんの事だから、魔法で写真を張り付けたような気がする。絶対に自筆ではないだろう。
「まずは、一番最初の曲がり角を左に曲がったところにある、私の寝室と物置!右が寝室、左が物置ね」
帰宅したら荷物を置いて、すぐに寝られるようにしているっていうことかな。汚れとか、気にしないでベッドにダイブ‼目に浮かぶようだ。
「奥にある扉の先には、私の実験室があるんだ。そこにダンジョンコアっぽいものがあるよ。その奥には、私の魔法研究ノートがある書斎」
物置のすぐそばに実験室があるのは、まぁ妥当かな。どうせリンさんの事だから、希少なものを物置に放り込んで、実験するときにどこだっけ?っとするんだろう。
実験室の隣は、実験したデータとか分析した内容を記した書物があるんだろうし、これは研究者にとっては垂涎の的だろう。この書物の存在が公になれば、強盗とかがまたわんさか寄ってくるんだろうな。
「次は、廊下の2つ目の曲がり角を左に曲がるとあるリビング。そこにあるドアから、トイレやお風呂に行ける。手前側がお風呂とかの水回り。奥がトイレだよ」
…意外と普通の家だった‼と思った私たちがバカだった。クロ用のキャットタワーがあるなぁと思ったら、動いた…。よく見ると、まだ幼木のトレントが2本、枝を絡ませ立っていた。その枝の上をクロが楽しそうに登ったり下りたりしている。
キッチンのごみ入れには、ポイズンスライムが鎮座。キングペリュトンと思われるお肉を咀嚼している…生ごみ処理機か⁉
調理スペースには、コンロの部分にファイアースライム。シンク部分にはアクアスライムがいる。
ダイニングテーブルと椅子の代わりにバランスボール…ならぬスライムがいる。
メタルスライム、ノーマルスライム、サンダースライムよ、君達は椅子では無いはずだ。




