46 似たもの同士
夕方になり半泣きのリンさんと一緒にバルでご飯を食べていた時だった。すらりとした長身のドラゴニュートの冒険者がギルドへ入ってくるのが見えた。もしかしたら、と思って急いでご飯を掻き込み、リンさんの口にはご飯を突っ込みつつ首を掴んで受付窓口へと急ぐ。
「ごめんなんし。わっちはミエリンでありんす。タイパンさんかカッパーさんへお取次しておくんなんし」
「すみません、私はギルド職員のリリーと申します。私がギルド長室へご案内します」
「よろしゅうに。掴んでいるお子さんはなんざんす?」
「お気になさらず。ギルド長室で改めてご紹介させていただきますね‼」
リンさんを引きずりながら、ギルド長室へ逆戻りしたのだった。
「ミエリン、久しぶりだな。来てくれて嬉しいよ」
「トリティクムの町に行くように、天啓が降りてきたでありんす~」
「実は頼みがあってな。報酬は応相談となるんだが、リリーさんが引きずっている『危険度Sランク冒険者』のリンへ魔力コントロールを教えてやってほしいんだ」
「主さんの頼みとは言え、相性というものがありんすよ。地下で軽く教えてみて、その結果次第でありんすね~」
「リンさん、一緒に地下練習場へ行くなんしよ~」
ミエリンさん、リンさん、タイパンさん、カッパーさん、私の5人で地下練習場を貸切った。
「練習場を壊さないよう、主さんができる最小限度でライト魔法を使ってくんなんし」
「ライト‼」
「「「「目が~‼」」」」
全員目をつぶっていたはずなのに、この威力・・・。
「次はシュワ~とさせながら」
「ライト!」
通常のライトの光量になった!
「シュワ~、フワ~で」
「ライト~」
常夜灯の明かりと一緒になった!
見学している3人は、さっぱり分からない魔法コントロールの伝授の仕方であるが、リンさんがとっても嬉しそうである。
「こんなに相性の良いお方は初めてなんし!わっちが教えるなんし‼」
「師匠って呼んでいいですか!あと、私の相棒のアブソーブのクロです!この子もよろしくお願いします!」
「ミャ‼ミャミャミャ!」
「「「「よろしくお願いします‼」」」」
全員の声が揃って、ミエリンさんに頭を下げたのだった。
お料理で「ちょろっと入れる」「ひと回しする」のように教えられるイメージ、それの魔法版です。
読んでいただき、ありがとうございました。




