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ギルド職員は忙しい  作者: 猫の子子猫
第1章 冒険者ギルド編

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43/150

43 暇だと危険

私とカッパーさんはクロが遊んでいる間に、モダーレスさんのお家でお茶をいただくという難題に取り組んでいた。アイスドラゴンの巣の中で寛げって言われても無理だと思うのだが、モダーレスさんは内心はどうあれ、リラックスしてお茶を飲んでいるように振舞いなさいと、凍り付くような笑顔で指導してくれた。氷像になるかと思った。


幸いフェリスが全て録画してくれているため、ギルド長室で再生しながら3人で優雅なお茶会を目指して練習している。どうしてなのか分からないけれど、タイパンさんの所作がとても綺麗で茶器の扱いも上手い。

「練習の成果だから、2人とも意識して振舞えば短時間位取り繕うくらいならできるようになる」

ギルド長ともなると、王城に呼び出されたりするから身に着けたのだろうか。


ギルド長室をノックして入ってきたのはギルド職員の一人、コーラルさんだ。困り顔だな、何か揉め事だろうか。

「お忙しい中すみません。『危険度Sランク冒険者』が無自覚に災害を振り撒きそうなので相談に来ました」


それ、絶対に危ない案件だよね‼スパイスと言って毒を食べるリンさん、どうしたのかしら。

「国境へ散歩に行ったけれど盗賊も魔物も動物もいないし、ダンジョンでも魔物どころかダンジョンボスも出て来ず、ドロップ品だけ出たから、暇でどうしよう~‼と叫んでいます」


「…呼んでもらっていいか?」

「タイパンさん~、来たよ‼」

「お前には3つの選択肢がある。1つ目はマナー教室行き、2つ目は魔力コントロールの修行、3つ目はラーノさんを師匠として気配を抑える狩人の修行、どれがいい?」

「魔力コントロール一択です!」


「教えるのは俺だが?良いのか?」

「将来的に役に立つからです!だけど拳骨はやめてください!痛いです!」

「拳骨制裁でハイ・ヒールを覚えたくせに?」

「覚えなかったら私のあたまが雪だるまになりますからね!」

「お前は体と感覚で覚えるタイプだからな…。理論的に言っても伝わらなかっただろうが」


「だって理論で覚えるのは難しいもん!感覚で覚えた方が頭にしみつくもん!」

「周囲に危険が及ぶ時だけ拳骨喰らわせただけだ。リン1人で済むときは放っておいただろ?今回も同様の基準でいくぞ」

「ぐうの音も出ません…」


「リンは曲がりなりにもS級冒険者なんだから、魔力量は多いし、魔法も人並み以上の種類は発動できるんだよな。加減がおかしいだけなんだから、魔力コントロールさえ上手くいけばアブソーブが許せば普通の動物もペットにできるぞ。最終目標はリンがいても静寂の森にならないことだな」

「森って静寂なのが当たり前でしょ。鳥の囀り、虫の鳴き声なんて聞いたことないよ?」

「「「そりゃ、リン(さん)だけだ」」」


「幸い、カッパーさんとリリーさんは出張や魔道具製作などで不在がちなんだ。だからこの部屋でみっちりとギルド長の事務仕事手伝いをやりながら、魔力コントロールの修行もできるという良い環境が揃っているぞ」

「ハイ…」

リンさんの声に元気がない…事務も大切な仕事だよ‼ファイト‼書類を燃やしたり水浸しにしないでね。

読んでいただき、ありがとうございました。

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