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ギルド職員は忙しい  作者: 猫の子子猫
第1章 冒険者ギルド編

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32 マナーを教わりに

翌日、ギルド長から私たちに1日出張命令が下された。午前中は昨日のベスディードで衣服等の確認、午後はマナーを教えてくれる王城で侍女をしていた方が住んでいる家に行くようにとのことだった。あまりにも王城でマナーを知らないと冒険者ギルドの恥になるから、費用はギルドが負担してくれるそうだ・・・。思わずタイパンさんと顔を見合わせて、どちらかとともなく大きなため息をついた。


ベスディードに着くと早速2人別々のスペースでサイズを調整した服等を着て、脱いでを繰り返した。リサさんがこまめに私達の服装をチェックし、王城へ行く場合やフラーテル様の屋敷に行く場合の組み合わせを一覧表にまとめていた。こうすれば急な呼びだしがあってもスタッフが迷わないで済むからだそうだ。


この後の予定を聞かれたので、マナーレッスンのために王城で侍女をしていた方の屋敷に出向くことになっていると伝えると本番とあまり差が無いような服装が良いだろうという事で、ワンピースドレスを着て行くことになった。


マナーの教師として紹介された方の自宅は、貴族街の中にあった。王城勤務でマナーも教えられるっていう人だから、貴族様だとは何となく思っていた。ただ、大貴族という訳ではないらしく、門から屋敷の入口まで30mくらい離れているが、貴族街にある邸宅としたらこじんまりとしている印象だ。


ドアのノッカーを鳴らすと、灰色の執事服を着た成人したばかりだろうと思われる男性が出てきた。しかも、頭の上には犬か狼と思われる耳が生えている。私たちが名乗ると笑顔を浮かべてくれた。

「主より伺っております。カッパー様、リリー様、どうぞお入りください」

玄関に入ると、ふわりとローズマリーの香りがしていた。玄関にほど近い部屋に通され、ソファを勧められたので、座らせてもらった。


ほとんど待たずにエルフ族の女性が入ってきた。立っているだけで、上品さを感じさせるのは姿勢がとても良いからだろうか。年齢は人間で言うと30歳くらいに見えるが、エルフ族は長命族だから見た目通りの年齢とは限らない。髪と瞳の色は薄い緑色で、肌の色は薄い褐色だからダークエルフ族だろうと思われる。エルフ族は森の中などで一族で暮らしているというイメージが強いが、閉鎖的にならないように一定の年数を里の外で暮らすという決まりを設けている事が多い。


「初めまして、モダーレスと申します。この度は、フラーテル殿下からの要請により、お二方へ王宮に出向いた際の最低限必要となる作法やマナー、及び常識などをお伝えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」


笑顔のモダーレスさんなのだが、何故だか私の背中には冷たいものが流れて来た。こんな風になるのは、ダンジョンでBランク以上の魔物が出たとき以来だ。ちなみに、Bランクの魔物が出たら、私の場合は防御に全振りの離脱一択である。離脱できない今の状況の方がはるかに危険度が高いと本能が訴えてくるのは、どうしたらいいのだろうか。


その後のレッスンについては、本当に思い出したくないレベルだった。というか、歩くだけでも身体の使い方が冒険者とは全く違うのには驚いた。カップの上げ下げ1つにも指導が入るため、「本日はここまでとします。2日後にお会いするときを楽しみにしています」と言われたときには、疲労困憊だった。なにせ相手はBランク以上の魔物に勝るとも劣らない圧を感じさせるエルフ族。王宮の元侍女だというが、どういう素性の人なのか気になる。でも下手に聞くと藪蛇になりそうな予感がひしひしとするため、当面スルーしよう。

ちゃんとした訪問時の時のご挨拶やテーブルマナーってシリマセン…。


読んでいただき、ありがとうございました。

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