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ギルド職員は忙しい  作者: 猫の子子猫
第1章 冒険者ギルド編

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28 タイパンさんの家にお宅訪問

タイパンさんは、良いところのお坊ちゃん…

ギルドへ戻るとカッパーさんがタイパンさんに向かって自慢をしたものだから、タイパンさんは笑顔で相槌を打っているけれど目が笑っていない状態になってしまった。なんだか嫌な予感がするのは気のせいだろうか。


「リリーさん、まずは1か所拠点が出来上がったようだが、稼働できる拠点は多い方がいいだろう?男の自宅に女性が1人で来るわけにもいかないだろうから、これからカッパーさんと3人で俺の自宅へ行くぞ」


そう言いながらマジックバックに色々と猫のベッドや遊び道具の材料になりそうな素材を突っ込んで行っている。これは、断ったらどうなるか分からないパターンだと思ったので、大人しく言う事を聞いておこう・・・触らぬタイパンさんに祟りなし。


タイパンさんの自宅へ向かうことになったは良いものの、ギルドトップ2のお2人が同時にギルドを不在にできるのかと不安になる。短時間で戻る予定だということだったが、向かっている先はなぜかギルド長室奥にあるドア。ドアを開けると、ギルド長が泊まり込みできるようになっている部屋があり、ベッドと床から壁までの高さがあるクローゼット、ユニット式シャワーとトイレがついている。タイパンさんは部屋の入口ドアに鍵をかけ、さらに結界を展開させて誰も部屋に入れない状態にした。


タイパンさんが魔力を流してクローゼットを開けると中には冒険者用のコートや剣などが置いてある。荷物を脇にずらすと、さらにタイパンさんがクローゼットの奥の壁に手を当てて魔力を流した。すると、まぁ、なんという事でしょう。何の変哲もない壁にドアが現れたではありませんか。私が呆気に取られている間に、お2人はさっさとドアを潜っていくので、慌てて私も後へ続いた。


ドアを潜った途端に、壁に出来ていたドアは消えてしまった。どうやら魔力を流して対象者が通った後はすぐに消えるようになっているらしい。ドアの先は、図書室のような場所だった。タイパンさんの家の中らしいが、普通は家の中に図書室なんて無いよね!一体、タイパンさんって何者なんだろう。


図書室から出ると、廊下があり窓から外が見えた。外の風景から見ると、王城からも近いと思われるので貴族地区か富裕層地区だろうか。一番階段に近い部屋のドアが開き、黒服を来た男性が現れた。私たちを見て、わずかに目元に驚きが現れたが表情は変わらずにお辞儀をした。


「お帰りなさいませ。お客様をお連れのご様子、客間へご案内いたします」

「仕事を抜け出して来ているから、今はいい。今後、この両名を客人として扱うので周知したい。主だったものをホールへ集めてくれ」

「承知いたしました」


男性が離れていくと、タイパンさんがこちらを向いた。

「これから使用人の主だった者たちを紹介する。リリーさんはフェリスとソヌスを出しておいてほしい」


ソヌスとフェリスを呼び出し、私とカッパーさんで1匹ずつ抱っこすると、タイパンさんに続いてホールへと入った。色々な服装をした男女が続々と集まってきていたが、ソヌスからは念話で『壁や天井の裏にも人がいます』と伝えられて来た。…いわいゆる隠密とか諜報の人達かな?そんな人たちを雇っているのって ドンナ オウチ ナンデショウネ?


ホールに集まった人達に向かって、私達をギルド職員であり極秘クエストを担っているため、この屋敷を拠点にすることが伝えられた。また、屋敷を出入りするために必要になる事柄の手配を行い、客人として遇するように伝えられた。また、私達が抱っこしている猫は、クエストの重要任務を行っているため、必ず優遇するようにも伝達されていた。


その後に先ほど会った黒服の男性と、濃紺のワンピースを着た女性、メイド服の女性、騎士の人が私たちの前に立った。


「執事長のモンドリアン、侍女長のキュリー、メイド長のマリア、騎士団長のカールだ。今後、この屋敷に来るときには、この者たちが対応することも多いかと思う。それと、今はこの屋敷の外に出ることはできないが、正式に今度この屋敷に招待しよう。そうすれば、この屋敷の外観や場所などは分かるだろう」


カッパーさんと私は目を見合わせてから、コクコクと首を縦にふった。その後、タイパンさんはマジックパックに入れていたソヌスとフェリス用に準備していた遊び道具をモンドリアンさんへ渡していて、この2匹が寛いで過ごせるように場所を整えるように伝えていた。


「カッパーさん、リリーさん、執事長をしておりますモンドリアンと申します。猫達が楽しく過ごせるようにしたいと思います。今は時間が無いとのことですので、今度こちらの屋敷にいらしたときにでも、打合せをさせていただく時間を設けさせていただきたいと存じます。お2人とも飼い主ということでよろしいでしょうか」

「違うわよぉ。2匹ともリリーさんの猫なの。私の家も拠点として使用するんだけれど、何種類かのベッドとキャットウォーク、ペットドアを設置したわぁ。ソヌスの方がこだわりが強いみたいだから、好みとかを確かめてから本格的に設置したほうが良いわよぉ」

「承知しました。次にお会いできる機会を楽しみに待っております」


「騎士団長をしているカールと申します。リリーさん、猫たちが屋敷に来るときには首輪か何かで野良猫とは区別できるようにしたいと考えています。万一、野良猫と間違えて追い出してしまったら不味いですので」

「は、はい、考えてみます」


「侍女長をしているキュリーと申します。お2人とも、よろしくお願いします」

「メイド長をしているマリアと申します。かわいい猫達が安心して過ごせるようにしたいと思います」


「「皆さん、どうぞよろしくお願いいたします」」

その後、タイパンさんと一緒にさっき来た道を逆に辿ってギルド長室へと戻ったのだが、めちゃくちゃ疲れてしまったのは仕方のないことだと思う。

読んでいただき、ありがとうございました。

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