16 フェリスとソヌス
私の頭がいきなり重くなった!何事?と思ったら、ギルド長と副ギルド長が突然プルプルしだした・・・。
「えっと・・・どうなさいましたか?」
「「リリーさん、頭の上に猫っ・・・」」
頭が軽くなったと思ったら、膝の上にまるまるとしたボディとふわふわとしたボリュームのある毛を持つ猫が現れた。毛の色は、黒と白の二色で鉢割れ、瞳の色は、ゴールドとブルーのオッドアイだ。
「えっと・・・フェリス?」
「そうにゃよ!」
「「猫がしゃべった~?」」
「リリーがこの2人にフェリスのことを教えていて、信用しているようだったからにゃん。他の人の前では普通の猫らしくしているにゃん」
「フェリスはラガマフィン。さっきリリーが出した外部媒体はラグドールにゃん。リリー、ご褒美ちょうだいにゃん♪」
ご褒美・・・なでなでしてマッサージだったっけ?フェリスの体全部を優しく毛並みに沿って撫でたり、背中に沿って人間と同じようにマッサージしたりすると「ゴロゴロ」と喉を鳴らして満足そうに目を細めている。
「リリーさん、この猫は一体どこから現れた?」
「あ、私の脳内パソコン本体が実体化した・・・ようです」
「よろしくにゃん、フェリスにゃよ。実体化しているときは、基本的にリリーの魔力で動けるにゃん。一応普通の猫みたいに食べたり飲んだりすることもできるにゃん、あとリリー、ブラシもよろしくにゃ」
「猫用ブラシは持っていないから、買わないとね・・・」
「リリーさぁん、良かったら私に作らせてぇ。これでもドワーフ族なんだから、フェリスちゃんにピッタリのブラシを作るわよぉ。フェリスちゃん、私も撫でて良いかしら?」
フェリスがカッパーさんの膝の上に移動すると、とろけるような笑顔で撫で始めた。ん?心なしかギルド長の手が不思議な動きをしだしている…。
「リリーさん、私のこともタイパンと呼んでくれ。そして撫でさせてくれ!」
ギルド長も猫好きだったんですね~。フェリスに気に入られようと、いつの間にか猫じゃらしを持っているし・・・。本当に2人のイメージがこの数日で変わったわ。そして、フェリスは今度はギルド長の肩の上に乗っているし、すっかりと懐いている様子。本当にパソコンなのかしら。
「ゴホン、さて…と、外部媒体はいつ頃帰ってくるのかな?」
あ、タイパンさんが正気に返った!
「ん~、撫でてくれないと接続できないにゃ。撫でれにゃ~」
「「「はい、喜んで~」」」
もふもふもふ・・・・
「あ、帰ってきているにゃ。窓をあけるにゃ」
ギルド長室の窓に駆け寄って開けると、するりとラグドールが入ってきた。
「では~再生させるにゃ。リリー、再生させるために、ラグドールに名前をつけてあげてにゃ」
「え~と、え~と、ソヌス!」
「名前をソヌスと認識しました!実体化している時は人間の言葉を話すことができるようになりました。よろしくお願いします。そして、ブラッシングしてもらえれば、先ほどの馬車で話していた内容をお伝えすることができます。好みは、硬めのブラシです」
ま・またブラッシング…。
「分かったわぁ。早速猫用ブラシを作ってくるわねぇ」
「恐れ入りますが、本体である本体であるフェリスと、私は別個体ですので各々専用ブラシが欲しいです」
「にゃ!あまり硬いブラシは好きじゃないにゃ~」
「分かったわぁ。任せといてぇ!」
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