149 動くな!(☆ソレノドン視点)
「はーい!じゃあ、いつでも発射していいからね!魔力の準備ばっちり!」
「じゃあ、起動するための合言葉を唱えるわよ!皆も一緒にご唱和ください‼」
「「「マッチ一本火事の元、動くな点P‼」」」
ドーン!大砲が鳴らされ、リンが乗った弾丸のような部分が砲筒から飛び出していく。
「私はマッチでも点でもないぃぃぃ!」
うん、よく分からん起動のセリフだったが、きっとリンには感じるものがあるんだろう。
『こちら「P」、最高高度に到達。エネルギー供給を開始』
リンが無事に最高高度に到達したんだな、後は心配するとしたら周りだけだ。リンは放っておいても…いや、周辺が地獄絵図にならないように俺たちが何とかするしかない。
「リン、リリーさんの気配や魔力は感じるか?」
『僅かだね!方向が分かった!音速突入させる!』
「ダメだ!音速になんかなったら、衝撃波で周囲が大惨事だ‼」
『ちぇ…』
おっかねぇ。普通に空を飛んで来る謎の物体が音の速さって何だよ‼空飛ぶ凶器だ…。
タイパンが青ざめた顔して止めてくれたから、地上にいる全ての命が救われた…。
「リン、シュワ~、フワ~を忘れたらいけないでありんすよ」
ミエリン師匠も緊張した顔で声を掛けてくれた。
タイパンとジョンが慌ただしく関係各所へ連絡を取り合う必要があるため、ミエリン師匠と俺で『P』を制御することになった。
「聞こえるか『P』、アゲートさんから連絡だ。医薬品を積んでいるから、優しく着陸しろだそうだ」
『了解!リリーさんの魔力反応が強くなってきた。近いよ』
「『P』、そろそろ着陸だと思うのよぉ。着陸する地点上空近くになったら、右レバーを捻ってねぇ」
カッパーさんからの指示が出た。
『捻るよ‼』
ひゅ~、パーン‼
『花火‼玉屋~!鍵屋~‼』
「明るくなったでしょ?これで着陸地点の様子を確認しながら、降下してねぇ」
『P』の様子がカメラ映像で流れてきた。
円形に広がった花火の外周を丁度『P』が動いている。数学の試験を思い出してしまう。
「『動くな、点P』ってこれの事か…」
皆が納得した。
数学で、動く点Pに悩まされた思い出が…
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