139 ヘッドハンティング
抜け出したのがバレないように、早々に神殿に戻り床に入る。夜間も見回りの人が隠し部屋に来ていたので、なかなかの警戒ぶりだった。
「おはようございます、皆さん。よく眠れましたか?」
「あぁ、おはようございます、司祭様。良い部屋過ぎて逆に緊張しましたよ…ハハ」
「儀式の日取りですが、5日後で調整を進めています。それまでは、教会に毎日寝泊りしていただけるのであれば冒険に出られても構いません。不測の事態を防ぐために、神殿騎士を護衛に付けさせてください」
「冒険者が護衛されてちゃダメだろ…と思うのですが」
ソルさんが必死の抵抗。
「それであれば、皆様が出かける先に、偶然、神殿騎士も用事があるという扱いで」
どうやら、神殿騎士の監視…もとい護衛は必須らしい。
「だだ…(仕方ないね)」
朝食を頂いて、まずは教会内部の案内を受けることにした。女神教徒ではない私は、全てが珍しい。教会の中には、簡易的な貸図書コーナーが設けてあったので、女神教の教えを分かりやすく子供向けに書かれている絵本を借りる事もできた。この貸図書コーナーは、先々代の王弟様が出資して設置してくださっていますと掲示板が出ていた。
朝の礼拝堂は、混雑はしていないものの入れ替わり立ち代わり人が出入りしていた。仕事の行き帰り等に寄る人が多いそうだ。
「だ?だだだ??(あれ?あの人…ゴースト憑いてる)」
「え?ど、どうする?祓うと聖女認定に一直線の既定路線待った無しよ?」
「リンなら…」
そう言ったかと思うとソルさんは人好きのする笑顔を浮かべたかと思うと、リンを抱っこしながら、ゴースト憑きの人に話しかけていった。お互いに女神教の話をしているが、リンちゃんは何か言いながら空中に向かって手を振っている。
「だ~(交渉成立)」
ソルさんたちが戻ってきた。
「だだだ~だ(スカウト成功したよ)」
リクルートっ!ゴーストって人に憑いているんだよね?リクルート出来るものなのかしら?
「だ~だ~だ(祈ったタイミングでリンちゃんハウスへ転移させた)」
「あの人な、お祈りしたら身体がすごく楽になったって言っていたぞ。良かったな」
「だだだ!(後はシチフクにヨロ!した)」
シチフクは、いきなり仕事が降って?転移して?きてビックリしています。
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