137 大雑把
ソルさんが気を引き締めた。叩き上げの冒険者は初心者時代から薬草採取のクエストをこなすから、植物にも自然と詳しくなるのだ。逆に元騎士崩れの冒険者等は薬草採取を馬鹿にしたりする人もいるので、転職組の冒険者に関しては薬草の知識は千差万別となる。
「おーい、取り替えてもらったぞ」
ソルさんが戻ってきた…ん?鳥クロがソルの頭に止まって、髪の毛を引っ張っている。
「分かってるって…、ほら、リン、クロに餌をやれよ」
「だー!(隠し部屋に人がいるってさ)」
リンちゃんが、ポケットから見た目は果実に見えるように加工した肉を出して、食べさせる。
「お茶、淹れるわね~。今度の茶葉は…ん、大丈夫、子供も飲めるね」
「そうだなー。やっぱり子供には麦茶だなー(棒読み)」
「だだ!」
「熱いからね、ふ~ふ~して冷ましてね」
「だぁっ‼」
「それにしても、こんなに良い部屋に泊めてもらえるなんて…。落ち着かないわね」
「判定の儀式なんて、何かの間違いだろ…。明日には出て行けって言われるんじゃないか」
そんな他愛無い雑談を暫くしてからベッドに入ると、隠し部屋から人が出ていく気配がした。
『私達が寝ているように見える幻影を投影。リンちゃんハウスに転移っ‼』
「やれやれ、やっと自由に話せるな」
「リンちゃん、隠蔽魔法マックスで掛けてたのに、あの司祭様に見破られたねぇ」
「クーちゃん…大よりの中の加護掛けたでしょ…」
「そんな細かい調整はしてないわよ!加護(中)、愛し子、料理人…あと何だっけ?」
「あ、原因それですね、はい」
クーちゃんは、大雑把なんです…。
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