132 セーフティネット
「なんというか…うん…うん…微妙な感じが…」
「どこが微妙なの?」
「なんというかさ、ぼったくりの気配が…」
「寄付日と寄付額は公表されているし、対象は貧乏人だからな。そんなに阿漕な真似はしないさ。商人なんかからバックマージンを貰っている可能性は否定しないが、やり過ぎると教会の監査人がやってくる。実際に、横領の罪で捕縛された教会関係者もいる」
「なるほどね…なら、ちょっと安心かな。さて!潜入開始じゃ~!」
「それじゃ、リンちゃんに確認ね。あなたは3歳児、セリフは基本『だ』のみ。チート能力・魔力漏れ厳禁、常時『シュワ―、フワ―』を意識する。父親はC級冒険者で斥候が得意な親バカ、母親はD級冒険者でリスク管理が得意なしっかり者。OK?」
「だっだー!(了解!)」
「クロは常時シマエナガの姿でいること。これ絶対、OK?」
「チーチー(分かってるって)」
教会に向かい、ソルさんが代表して教会の司祭様に寄付と女神様への感謝の祈りを捧げたいと告げる。寄付に関しては、半額ずつで用途を限定するものとしないものに分ける事にしていた。用途を限定する寄付については、孤児達の食事と教育にしてほしいと希望した。今回は、子供達が被害者という事もあり、子供向けの慈善活動にしてほしかったからだ。
「今回は、クエスト報酬の8割もの金額を寄付してくださり、ありがとうございます。女神様も大変お喜びになるでしょう。祈りの間には、ご家族全員で入られますか?それとも、どなたかが代表して入られますか?」
「女神様のご加護のもと、家族全員が頑張った結果、無事にリン達が親元に変えることができたと思っている。だから、家族全員で祈りの間に入りたい。その後リンに教会のことを色々と教えたいと思っている」
「だ~だだ(1人で入ってみたい)」
「あら?リンは1人で入ってみたいの?司祭様、まずはこの子1人で入ってみて、その後家族全員で入ることもできますか?」
「お子さんが1人で泣いたりしないのであれば勿論できますよ」
「だ~!(泣かないし!)」
まずはリンちゃんだけで祈りの間に行くので、私達夫婦は一般の人達が祈りを捧げる礼拝堂で司祭様と共に待つ。司祭様が寄付金を孤児たちの為に使うための内容を説明してくれた。まずは寄付額の5割程度を食料調達、残りの5割を使って司祭様や助祭の方達が文字の読み書きや計算などを教えてくれるそうだ。
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