130 調査するなら
「まぁ、何となく。存在を感じる時はあるよね。実際に見た事はないんだけれど」
「で、リンの周りはどんな感じになっているんだ?」
ソルさんがワクワクしながら聞いてくる。
「シュガーちゃんにクリクリされている時、リンちゃんの周囲が楽しんで笑っているような気配がするなぁ。後は…リンちゃんの寝相が酷い時にも興奮している気配があるわね」
「そーなのか…私、全く感じないんだよね」
「知らない幸せっていうのもあるからな…」
クロが思わせぶりなセリフを言って、アンモニャイトになってしまった。
「調査するなら教会が多い女神教からだな」
「賛成!どういう設定で行くの?」
「オーラ国には派手に入国しているから、家族設定は外せないな。リンが誘拐されても無事に帰ってこられた事を女神さまに報告し感謝したいとするならば、無理がないだろう」
翌日、町にある女神教教会に行くことにした。この町の名前は、アベントゥーラという。
「確か、この町のアベントゥーラの女神教の宗派の考え方は、極端に言うと『女神の恩寵は、信者の寄進額に応じて平等に与えられる』っていうやつだ。王族であろうとスラム民であろうと寄付の額が同じならば平等の加護や恩寵が与えられる。血筋や身分は関係ない」
何だか拝金主義的な思考が強そうだ。きっと、教会もお金持ち仕様になっていて、貧乏人には優しくないだろうなぁ…。
「探索クエストで報酬も出たしな。明日はデルフィナス国のダンジョンでドロップしたレアアイテム装備で、寄進もクエスト報酬の8割をやるぞ」
「私のポケットマネーも使ってよ」
「一応、俺たちはC級とD級の夫婦だぞ?リンのポケットマネーを使ったら、痛くもない腹を探られるだろうが‼」
リンちゃんのせっかくの申し出だけれどね、流石に出所の分からない位の金額を寄進するわけにはいかないんだよね。熱心な信者でも、クエスト報酬の3割位しか寄進しないはずだから、今回の8割は破格だ。きっと教会でも無下にされることは無いだろう。




