127 父娘の攻防
「リン、ギルド長としても頼む。誘拐された子たちの親族は、一日千秋の思いで待っているんだ」
「しゃーないね、でも、ギルド長も一緒だよね?親たちにギルドに就職とか見習いとか説得するんでしょ?」
「あぁ、勿論だ。ギルドとして保護しているしな、俺もS級冒険者なんだ。護衛としても最適だろ。留守にする間は、カッパーさんに負担をかけるが、よろしく頼む」
オーラ国の冒険者ギルドには、馬車で向かうことになった。対外的にもパフォーマンス大事という政治的判断があったようだ。リンちゃんは面倒だから転移が良かったとブスッとしている。大勢の人の目に付くように、最初から3歳児姿になっているため、ソルさんはご機嫌なのだが。
リンちゃんがずっとソルさんから逃げようとしているが、絶妙な力加減でソルが抱っこしたり肩車したりしているため、傍目にはリンちゃんがソルさんの身体の上でハツカネズミのように動き回っているように見えるところが面白いなぁ。
オーラ国のギルドがある大通りに入ると、凱旋パレードのように歩いていく。リンちゃんとソルさんが先頭を歩き、私は後ろから付いていくはずだった。リンちゃん、ソルさんに肩車してもらっていて、ソルさんの耳を引っ張って先導している。
「だっ‼だっ‼」
「進め、馬よって言ってるぜ、あんたの娘」
「クロ…それは内緒にしておいてあげて…」
読んでいただき、ありがとうございます。




